ネコババのいる町で (文春文庫)

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ネコババのいる町で (文春文庫)


文藝春秋

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発売日: (1993-03) アマゾン売上ランキング: 434294 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

読後にジワジワ感動の波が
タイトルに惹かれ手にした一冊。サラッと読めた後しばらくしてから、
じわじわと「あぁ、良い小説読んだなぁ」と余韻が拡がっていく不思議な空気が漂っている作品。

調べたら、それもそのはず!!芥川賞受賞の小説との事でした。
主人公の恵里子は、わずか三才にして、一人切り飛行機に乗せられロスから日本までやって来る。
奔放な母親がアメリカ人との夫の間に新たな子供を授かった為、
扱いにくい性格の娘を日本にいる自分の母親と姉に押し付けたのだ。

日本語が余り理解出来ない恵里子にも、どうやら祖母と叔母が、
自分の母親の悪口を言っているのだという事は察知出来る…。
遂にはプレッシャーから失語症になってしまった恵里子。

そんな恵里子の家庭が持つ緊張感と対比するような形で出てくるのが隣の家に住むネコババ。
近隣から猫好きの変なオバサンとして仇名で呼ばれている彼女。

ふらっと遊びに寄ったネコババの家で猫と同様、特に改まって扱われるわけでない、
全然構われないわけでもない接し方をされ、入り浸るようになる内、
実に呆気ないタイミングで恵里子の失語症は治ってしまう。この辺り凄い共感を覚えた。

子どもの頃って、隠れ家を探すもんだと思うのだけれど、
存分に気ままな時間を過ごさせてくれるネコババの家の心地良さこそが、
恵里子の場所だったのだろう。日常の中キラリと光る、救われる一瞬が描かれて居ます。

オススメです!!
 親に捨てられた、子供の目に映る人間模様とは。
 アメリカで奔放に生きる母親には、青い目の新しい夫と妊娠中の
子供がいる。三歳になったばかりの美恵子は一人飛行機に乗せられ、
言葉の通じない日本の祖母と伯母の元へ送られる。
 娘の身勝手さにあきれながらも孫の世話をする祖母、姉のせいで
美恵子が自分の子ではないかと疑いをかけられる、男運の悪い伯母。
 隣の新築の家にはネコババと呼ばれる、猫好きのおばさんがいて
美恵子は毎日あそびに行く。そこには猫番のネコバンもいる。
 三歳の美恵子は、祖母、伯母と近所の人々に囲まれながら自分が
不幸とは思わずに成長してゆくのだが……。
はかないから「人間関係」は魅力なのか。
わたしにも、かつて自分の家より居心地の言い場所があった。
この本のタイトルにもなっている最初の一編を読んでいると、そのころの懐かしい空気がこころに満ちてくる。
すべてを読み終えると、今までの人生の出合いと別れが、スライドショーのように始まった。
久々に読んだ、本当の小説。どんどん人が恋しくなる。

何度も水をくぐった糸で紡がれたような文章は、人間関係に疲れて空いた穴を、やさしく繕ってくれる。