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思考のレッスン (文春文庫) |
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思考のレッスン (文春文庫)文藝春秋 価格(new/used): 500 円 / 217 円 より 発売日: (2002-10) アマゾン売上ランキング: 46361 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 10件 自由闊達に考える近頃、論理的思考というものがはやりである。書店に行くと、論理的思考力を身につけると称したトレーニング本が並んでいる。しかし、2,3読んでみたが一様に面白くない。ハウツー本を読んだり、ある型にはめ込めば考え方や話し方が論理的になると期待するのが無理だろう。そもそもそういうやり方自体が非論理的ではないのか。それらの本に対して、この「思考のレッスン」は対談をもとにしているということもあるが、読んでいて実に面白い。それは丸谷氏の考えが自由闊達で、飛躍があり、いろいろな事柄について考えたことが具体的に紹介されているからである。話題が多方面に及んで、それでいて支離滅裂にならないのは、言うべきことがぶれず、自分が言っていることを検証するシステムが頭の中に確立しているからであろう。氏は言う。「(論理的なつながり、論理的必然性は大事だが、)大事なのは論理といっても、バカ正直、几帳面、しかつめらしい、堅苦しい、くそまじめなものでは困る。・・論理的必然性といっても、遊び心を忘れてはいけない」。キーワードは「遊び心」である。 最初に述べたことと矛盾するようであるが、本書はハウツー本としても価値がある。たとえば「ものを書くときには、頭の中でセンテンスの最初から最後のマルのところまでつくれ。つくり終わってから、それを一気に書け。」、「(書くことに行き詰まったとき)一番手っ取り早くて、役に立つのは、今まで書いた部分を初めから読み返すこと。」などヒントになることが多い。ともかくこれだけ自由にものを考えられる人はうらやましい。 ひらめきをモノにする為にかつて司馬遼太郎氏は、自身の小説を、力ずくのエネルギーで何もない空気をかき回しひねりにひねって出来てくる結晶のようなもの、と言っていたそうな。アイディアをかたちにすることの困難がよく伝わってくるし、レビュアー自身の学生時代を思い起こすと冷や汗が出る。その点で本書は効果的で実際的なヒントに富んでいる。特に、『レトリックの大切さ』が良い。レトリックとロジックの関係、文章を書くときには対話的に考える等など、読む・考える・書くの各作業で陥りやすい罠から自由になるコツがよく分かる。さあ、あとは実践あるのみ! 考えるよろこび本を読むコツという章があって、自分で索引をつくる、登場人物表や年表をつくって読むと良い。 これはミステリー小説のようで面白そうだと思いました。 本を選ぶコツも、ちょっと考えてみる、それから本を探す。最初に読書ありきではなく考えが元 にある。書き方もそう。そしてその考えるコツが書かれている本です。 書き方のコツの章では、頭の中でワンセンテンス作り終わってから一気に書け、書き出しに挨 拶を書くな。書き始めたら、前へ進むこと。逆戻りしないこと。休まないこと。中身が足りなかっ たら、考え直せ。そして、パッと終れ。とあるのがなるほどなと思いました。 面白そうだからやってみようと思わされる本です。 しかも対談方式なので読みやすい。お勧めです。 本書の知の構成法は「知の遠近画法」と要約出来そう本書は「地頭力を鍛える 問題解決に活かす『フェルミ推定』」(細谷功)の参考文献の一つだったので手に取りました。私のような理系人間には(文学的知識が乏しいため)フォローし難い処も少しありましたが、「思考の準備」「本を読むコツ」「考えるコツ」「書き方のコツ」の章は面白く読めました。そして考えるという行為は(メタな視点では)文系も理系も関係ないよなぁと再認識した訳です。(「決断力」(羽生善治)、「本質を見抜く『考え方』」(中西輝政)、「思考の整理学」(外山滋比古)にも同様な感想を持ちましたが) モノを考えるためには、対象に興味を持ち、何故面白いのかよく考えた上で仮説を持ち、「比較←→分析」の繰り返しで考えを深め、大局観で仮説を検証する― この過程は科学において観測事実から法則を導き出す時の研究者の行為と同じでしょう。名付けるなら「知の遠近画法」。つまり、面白いアングル(仮説)を決め、比較対象物の配置構成を考えて主役(メッセージ)を際立たせ、全体の構図を見直しては細部を詰める(or ダメなら最初からやり直す)、そして最終的には俯瞰的な"絵(イメージ)"として浮かび上がらせる訳です。 更に「考えることには詩がある」の言に触れた時、「現実の根底にある自然法則に気付くのは達人で、現実の根底にある自然の調和に気付くのは詩人である」(湯川秀樹)を思い出し、愉快でした。モノを深く考えるためには、左脳(言語)と右脳(イメージ)の間のキャッチボールが必須です。(例:C60がサッカーボール状だと閃く為には、芸術(Buckminster Fullerのドーム建築)に親しんでいたことが決め手でした) そう言えば、湯川先生は漢詩に通じていたとか、寺田寅彦先生は連句の名手だったいう話は有名です。文章力とイメージ力(+ 好奇心、審美眼、論理力...)が「考えるプロ」には必須ですね。 (追記)"index reading"は参考になる技ですね。その発展形が"citation search"と言えるでしょう。 現代最高の「小説家=評論家」の入門本本書は論文作成マニュアルとして読んでも問題はないが、それ以上に丸谷才一の文学作品や 膨大な評論に分け入るためのガイドブックとしての性格が強い。実際、『笹まくら』『裏声で 君が代』『たった一人の反乱』『女ざかり』といった「国家論」小説(実際、丸谷ほど 「文化としての」国家を題材にしている現代作家は珍しい)の原点となった戦前・戦中の 体験、英文学専攻だったのが国文学に目を向けるきっかけとなり、後に『日本文学早わかり』 『後鳥羽院』へと結実する国学院大学での刺激的な教員生活、文明批評エッセイの大先輩で ある吉田健一や中村真一郎、石川淳との交流と、現代最高の「小説家=評論家」としての 丸谷の自己形成過程を読むような趣があり、かなり高度な文学好きも満足させられることは 保障できるだろう。 |