秋天の陽炎

- 文藝春秋 価格
home書籍CDDVDゲームソフトウェア家電キッチンおもちゃ・趣味
秋天の陽炎


文藝春秋

価格(new/used): -- 円 / 1 円 より
発売日: (2001-05) アマゾン売上ランキング: 230150 位
単行本 / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 6件

トリニータの歴史
 大分トリニータの歴史を感じさせられる本である。今でこそJ1の中堅チームだが、10年前には土のグランドで練習していたのだ。そして、2度J1昇格まで後一歩というところまで行きながら、昇格できずに終わってしまう。その2度の挑戦を審判、選手、監督の視点を交えながら物語にしている。
 内容は金子氏の得意な関係者のインタビューから文章にまとめるという方式であり、読みやすく興味深い本である。ただし、登場人物が少なく物足りない印象も受けた。ページ数の制限もあるのだろうが、もっと多くの選手、対戦相手、スタッフの思いも知りたかった。
何気ない出来事の裏で
何気ない出来事の裏に、みんなの知らないドラマがあった!
これがドキュメント、特にスポーツ・ドキュメントの面白さだとすれば、この本こそその金字塔ということになるでしょうか。
J-1昇格をかけたサッカーの1試合、時間にしてわずか90分。この90分の裏側でこんなドラマを描くなんて、作者の力量にはうなってしまいます。

星一つ減点は、値段の割りにページが少ない割高感です(せこくてすみません)。

『秋天の陽炎 』から2年後、敵役の皮肉な運命
奇しくもこの作品で敵役であった山形は、この作品とは逆の立場で2年後の2001年J2最終節を迎えた。
90分で勝利すればほぼ間違いなくJ1へと昇格する一戦。

相手の川崎はその年山形との敗戦が直接的な引き金となり、大分を更迭された石崎信弘が率い、元山形の選手で1999年大分の選手としてこの作品の舞台に立った塩川岳人も今度は川崎の中心選手として山形を迎え撃つこととなった。

スタジアムは多くが初めての観戦と思われる17000人の観客。
攻め続ける山形に抗し、耐える続ける石崎の川崎。

そして山形は、最後の最後に昇格を逃した。

『秋天の陽炎』は大分の物語ではあるが、山形の2年後を逆に映した鏡だった。

山形の大躍進は昇格したチームよりも強い印象をメディアを通して世間に与えたが、その裏に秘められた2年前の大分でのあのドラマを避けて通ることは出来ない。

スポーツ文化不毛の地と言われた山形に種が蒔かれた2001年11月18日の意義を考えるためにも『秋天の陽炎』を一度読まれることを強く勧める。

大分の陰に東京がいた
1999年のJ2最終戦。大分トリニータのJ1昇格を賭けた戦いが描かれる。金子節が随所に見られる力作である。だが、同時に行われていたFC東京・新潟戦のドラマと併せて読めば、その迫力はさらに増す(「FC東京の挑戦」)。大分の劇的なドラマの発端は、東京対大分戦にあった。東京が4-0で勝っていたゲームで大分がタイムアップ間近に2点を返したのだ。ここから東京はリズムを狂わし、大分の連勝が始まった。大分は2000年にも最終戦でJ1昇格を逃がした。二度も好機を逃すと三度目は難しい。しかし、大分にはJ1昇格を成し遂げてほしい。かつての川崎フロンターレのように。
現実の残酷さ
プレーヤーの目からみたレビューは数多あれど、審判の視点を取り入れたレビューは非常に新鮮。ホーム・アウエイ、そしてジャッジ。三者三様の視点からの切り口は現実の残酷さをまざまざと見せつける。このような新鮮な切り口のサッカーレビューを今後とも期待したい。ディープマニアでなくても、人間ドラマとして一読の価値ありだと思います。