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刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ (... |
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刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ (NHKブックス 1109)日本放送出版協会 価格(new/used): 1,019 円 / 600 円 より 発売日: (2008-04) アマゾン売上ランキング: 121598 位 単行本 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 5件 残念ながらかねて裸体論を期待していた美術史家の刺激的な著作だが、日本人は近世以前裸体を気にしなかったという議論は、著者も引いているデュルによって論破されているし、男が若い女の裸体に興奮しなかったというのは、『好色一代男』の世之介の覗きや、渡辺信一郎『江戸の女たちの湯浴み』を参照すれば間違いであることが分かる。全体として、日本人の身体観と西洋人の身体観というものを単純化して対比しようとする姿勢が目立ち、感心しない。渡辺京二の僻論に惑わされたのは残念である。「生人形」についても、木下直之『見世物としての美術』を見れば済むことで、肝心の「刺青」については最後のほうの一章で扱われるだけである。西洋美術が専門なので、日本美術についてはどうも素人くさく、さらなる研鑽に期待したい。 (著者より指摘があり、渡辺京二など評価していないとのこと。それならはっきり書いて欲しかったし、田中優子ももっとはっきり批判して欲しかった。若桑みどりの『隠された視線』も事実誤認だらけのひどい本なので、評価しないで欲しかった。また生人形については、木下氏以前に宮下氏が調査したとのことである。やはり美術史の世界で若桑みどり批判はタブーなのだろうか) 異才の美術史家の刺青論日経新聞の書評を見て買ったのですが、期待どおり非常におもしろい本でした。 日本人が裸をどう見てきたのか、とか、そもそもヌードというものがなぜ芸術に なったのか、といった日頃あまり考えたことのない問題について考えさせられ、 春画からアラーキーまで、豊富な珍しい図版の数々を楽しみながら、とても有意義な読書体験を得られました。刺青についても、今までは単に恐いものだと思っていましたが、日本のユニークな美術のひとつだということがよくわかりました。日本の「身」という概念は、肉体と精神をいっしょにしたもので、そのために西洋のような裸体芸術が生まれなかったが、刺青こそが精神を含んだ「身」の芸術だ、という主張は実に刺激的です。そして、刺青とは「見えていても見えない裸体を見せる装置であった」ということです。幕末に流行した「生人形」についても、こんなすばらしい芸術が日本にあったのかと驚きました。ぜひ熊本に行って実物を見てみたいと思います。少しでも美術に興味のある人なら確実に楽しめる一冊。広くおすすめします。 納得のいくヌード論ヌード写真集やヌード彫刻にはすっかり慣れている今の状況は少しヘンではないの か、まずこういう問題提起があり、ふむふむと読んでいくと、「たしかに!」と思わされることが多かった。 あまり目にすることのない珍しい美術作品がたくさん紹介されており、それだけでも十分おもしろかった。ただ、図版はカラーが少ないのが残念だった。 刺青は、本書では最後のほうに出てくるが、タイトルにもなっているので、少し物足りない気がした。 それでも、私たちがなぜ温泉や公衆浴場に入る時に、タオルで前を隠すのか、とか、プールで水着でいるのに、外では水着で歩けないのはなぜか、など裸についていろいろ考えさせられたし、同時に、日本の近代美術についてもいろいろ教えられ、満足感が得られた。 刺激的な芸術論日本にはもともと「ヌード」はなかった。にもかかわらず、外には裸体があふれていて、混浴があたりまえだった。という指摘から始まり、明治になって裸体風俗が禁止され、西洋のヌード芸術が入ってきたという、裸体をめぐる奇妙なねじれ現象と、そこから生まれた独自の芸術の展開について、息つく暇もないほどぐいぐいと読ませます。そして、日本になかったはずの裸体芸術とは実は刺青にほかならなかったという章にいたって、それまでの記述がさらに輝きを帯び、日本人にとっての身体、日本の裸体表象とは何だったかについて、納得のゆく結論に達します。随所に鋭い指摘があり、細かなマメ知識も豊富で、該博な知識をもつベテランの美術史家ならではの論理展開は実にわかりやすくて説得力があります。まさにこの著者ならではのユニークな内容で期待を裏切らないものでした。美術史を通じての身体論、身体論による美術史であって、ポルノみたいな低俗なものを期待してはいけないでしょう。美術や身体に関心を持つ者にとっては目からウロコの、知的な刺激と情報にあふれた名著だと思います。 驚愕:こんな人がこんな本を驚いた。 「裸体は本来美しいものではないのではなかろうか。少なくとも私は、人の裸を見たいと思わないし、女性の着飾った姿には惹かれても裸にはさほど性的な魅力を感じないのだ」(序章、p12) 人にはそれぞれに独自の嗜好、美学があっていいと思うが、この感性は(控えめに評価しても)あまり普通ではないだろう。かりにこれが大多数の人の考えであれば、成年用産業の殆どは成り立たなくなる。こういう珍しい方がヌードや刺青の美術史をものするというのが非常に面白い。事実関係については実に良く調べてあり、多くの参考文献も羅列されている。しかし著者の基本姿勢がこれなので、特に序章と終章では首を傾げたくなるような立論展開が多い。「女性の裸に性的魅力を感じない人による裸体芸術論」は空前絶後だと思うし、その意味で貴重でもあるが、とても共感できるものではない。美術史の記述は値打ちなので、星ふたつ。 |