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文字の現在 書の現在―その起源を読み解く... |
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文字の現在 書の現在―その起源を読み解く (中公文庫BIBLIO)中央公論新社 価格(new/used): 1,500 円 / 1,000 円 より 発売日: (2006-01) アマゾン売上ランキング: 120355 位 文庫 / 通常3~5週間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 1件 書と文字の混沌とした状況を多角的に分析ワープロやパソコンの急速な普及が、我々の予想を上回って何をもたらさんとしているか。 「筆触」と「字画」の終焉によって、言葉としての純度、抽象度を軽やかに高める。 「書くこと」を通して保証されてきた文体に替わって「打つこと」の文体が新たに出現した。やがて究極の姿は、音声入力によるそれらの誕生が予測される。 そけはともかく、近年肉筆文字が駆逐され、公文書扱いされなくなったご時勢に真向かい、歴史の中の名筆をたどる。良寛の書は抜きんでた近代性・普遍性を有している。谷崎潤一郎の書は、韻律をもつ言葉の喩としての、やや古風な〈流れ〉をもちながらも、本文言葉としての静かさも同時に湛えている。 岡倉天心や石川啄木、竹久夢二の手紙からは、日常の私的言葉に必然的な、淡々とした雰囲気が確認される。 柳宗悦や志賀直哉の書は、白樺的肥の系譜でありながら、言葉の形象喩を調製された分だけ〈つよいものの美学〉をはみ出す。 中国的音韻と無縁の訓読で接近せざるを得ない漢詩文書は、中国憧憬趣味に転じるが、洒脱やユーモア、ウイットの侵入する余地が生じる。 いわゆる変体仮名を用い、ふるえるような転感慨無量連ねた高村光太郎の和歌幅の前では、人々は不安におとしいれられるだろう。 ワープロ・パソコンの普及で、一見明朝体の不動、その典型性・恒久性は永続するかのように見える。しかし、それは「筆触」と「字画」の終焉、すなわち毛筆楷書がモデルとしての機能を喪失することを意味する。近年の字画の厳密性を欠いた新写植文字体、たとえば「ラボゴ体」〈写研〉などの登場を見ると、いっそうその感を深くする。 近代、現代という時空の中で言葉が書を捨てた事実だけは確実に指摘できそうだ。 |