存在と時間〈1〉 (中公クラシックス)

Martin Heidgger - 中央公論新社 価格 ¥ 1,575
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存在と時間〈1〉 (中公クラシックス)

Martin Heidgger
中央公論新社

価格(new/used): 1,575 円 / 1,175 円 より
発売日: (2003-04) アマゾン売上ランキング: 193835 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

読みやすい。
 気楽に読めるような内容ではないが、 桑木務訳よりは気持ちよく、言葉を拾い上げて読むことができる。文字が大きく読みやすい。
 新書版の分冊なので、電車の中でも手軽に読める。
 渡邊二郎氏の解説文がはじめに掲載されているので、ここを読むだけでも良いと思える。
 本書第一巻は多くはこの研究の方法論。他の学問からの分離や独自性。とくに存在論は現象学としてのみ可能であるとして、人間学や心理学、生物学にも一線を画すことの必要性や、人間とか生命という表現を避ける必要性、我々自身が存在者であることの特異性が示される。
 何らかの関連によってたつ世界観の「いく層もの関係の網の目」に我々自身がよって立つ存在者だとして、その関係性の薄皮を一枚一枚剥ぎ取っては核心の「存在」へと向かおうとする歩みは遅遅たるものに見える。(誤解を招くものとして、あえて言えば、たまねぎの皮をむいていくうちに、たまねぎの核心はどこにあるのか?とやっている印象もある。)
 しかし、実際読み始めるとなんとも、エキサイティングで攻撃的な、それでいて知的で、ときには焦っていると感じられるほどの表現が、一般的クールさを装う重厚な思索の歩みに隠されていると思える。若きハイデッカーの魅力的な精神性を表した傑作でもある。
困難な問い
本書のタイトルは「存在と時間」となっているが、「存在」も「時間」も、どちらも非常に身近すぎて、私たちはそれらについて、十分に知っていると思っている。しかし本書を読んでみると、私たちの一番基礎の部分にある「存在」や「時間」について、何も知らないのだということを思い知らされる。そしてそれらは実は知りえないことなのかもしれないという絶望感に襲われる。
本書を読めば「存在とは何か」「時間とは何か」が分かる、などと考えてはいけない。分かるのは、存在や時間を問うということがいかに困難なことであるか、ということだけである。しかしそのことが分かるということは、ある意味、存在や時間に対する見方が大きく深まるということでもあり、実はそれが哲学をするということなのだと思う。
嬉しい再刊
 中公バックス『世界の名著』全81巻が絶版になったことは記憶に新しい。詳細な注釈がついた重要著作の翻訳に、生涯と思想をまとめた解説が付されたこのシリーズは、文系学生が或る思想家に興味を持った場合の「最初の1冊」として、真に適切でしかも安価な書物だった。それなのに、書店から次第に在庫が消えて行くのを悲しんでいたところ、じきに『中公クラシックス』なる新シリーズとして、徐々に新装復刊が開始されたのであった。

 そして今回再刊されたのが、このハイデガー『存在と時間』(原祐・渡辺二郎共訳)である。数ある同書の邦訳の中でも、マニアック過ぎず、硬過ぎず、スタンダードで正確な名訳が、ようやく再登場した。『名著』の時にも大冊であったため、今回の『クラシックス』収録にあたっては、3分冊となっている。揃えると約4,500円と、『名著』全1冊の時よりもずいぶん値が張る。持ち運びにも少し勝手が悪いか。しかしながら、装丁だけ変わった「新装」というわけでは決してない。凡例部分に記してある通り、昨今の飛躍的なハイデガー研究の進展に基づき、渡辺二郎によって訳文の全面的な見直しが行われているとのこと。「ハイデッガー全集」の刊行に伴う本文記述の異同に関しても、新たに注が設けられている。ハイデガーの傑作の名訳が、より充実して再び簡単に手に入るようになり、まずは安心させられた。残り2冊も追って発売予定。こうした実のある再刊・復刊を望む。