現代経済学の誕生―ケンブリッジ学派の系譜...

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現代経済学の誕生―ケンブリッジ学派の系譜 (中公新書)


中央公論新社

価格(new/used): 819 円 / 310 円 より
発売日: (2006-04) アマゾン売上ランキング: 158286 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 5件

『生活基準の向上』に向けて!
全般を通じて筆者の真摯な取り組み姿勢、読者に対する熱い語りかけ、入門
初心者を意識したケアの精神が感じ取られ、筆者の人柄を彷彿とさせる良書
である。各章毎に掲げられた引用文献や巻末の参考文献リストも発展的学習
には参考となり、新書の限定された頁数を考えると密度の高さは大いに評価
される。

内容に関しては当然ながら読者の経験・知識により評価は分かれるであろう
が初心者にとっては経済学という学問の舞台裏で学説がマーシャルを始祖と
して、紆余曲折し自己否定しながらも成長発展していく様が物語風に記述さ
れており、読者を飽きさせない。あらゆる学問の理論発展と同様、理論は最
初は『特殊』として生まれ、その後、無視された仮定や条件を再考すること
により、適応範囲の広い『一般』化されたものに成長していく。

しかし、特に経済学のような応用科学の分野において重要なことは、各種の
アプローチ手法のように時代環境により当然変化すべきものと、その学問と
しての思想的根源として変わるべきではない普遍的なものの峻別と見極めで
あると思う。

その意味では、自分はケインズのいう総産出量(国民所得)最大化に向けた
アプローチの究極の目的は、始祖マーシャルの示した『生活基準の向上』(A
Rise in Standard of Life)にあると思う。

格差社会の到来が声高に叫ばれる中、物質的だけではない精神的な幸福感や
豊かさを社会全体で如何に実現するかも経済学の大きな課題であって欲しい。
(例、市場原理による不合理性の解消、企業倫理による不条理性の解消、消
費的欲望から創造的欲望への転換、etc.)
受け継がれたケンブリッジ派‐マーシャルからケインズへ
まず、本書は一般人が「新古典派」経済学に対して持っている誤解を解くことを念頭に執筆された新書です。
一般に「新古典派」はケインズと対極の側にある市場原理主義として解釈されています。
しかし、これは第二次世界大戦後のアメリカ経済学の一流派にすぎないものだと述べています。
マーシャル以降の「新古典派」は理論と実践のバランスをとり、
なおかつ道徳・倫理を重視する経済学派であります。
以上のように、マーシャル以降のケンブリッジ派は市場原理志向の
「新古典派」とは異なることを指摘しています。

もう一つの誤解として、ケインズが新しい理論を打ち立てたと思われています。
しかし、本書では、今や忘れかかっている、マーシャル以降のケンブリッジ派の人々に触れながら、
彼らが生み出したの理論がケインズにもちゃんと受け継がれたとし、
ケインズをマーシャルの「新古典派」をまとめ上げた人としています。

経済学の多少の知識は要求されますが、「ケインズ主義」再考にちょうどよい新書だといえます。
マーシャル以降の現代経済学の再発見
伊藤宣広『現代経済学の誕生』(中公新書、2006年)を、往復の「のぞみ」で読みましたが、20歳代でこれだけ分かりやすくマーシャル、ピグー、ロバートソン、ホートレー、ケインズを解説し、ケインズの位置づけをケンブリッジ学派全体のなかで捉え返している力量に感心しました(現在、立教の助手)。
マーシャルは長期は供給で決まり、短期は需要で決まると考えた。その考え方はケインズにまで影響を及ぼしている。
若手研究者による経済思想史
 ケンブリッジ学派の思想の軌跡が、丁寧に解説されています。マーシャルから始まりケインズまでのケンブリッジ学派について、手軽に知ることのできるほんです。ただ、手軽と言っても多少の経済学の基礎は必要ですが。

 あと、本書の著者は1977年生まれ。非常に若い研究者です。これからの経済学を担っていくと思われる世代がどう考えているのか、知る意味でも読む価値はあると思います。
良書です
マーシャルから始まり、歴代のCambridge Kings Collegeの経済学教授の学説が語られています。(ケインズは教授になっていません)今まで、あまり取り上げられなかった、ロバートソン、ホートレーなどの理論や学説などが取り上げられて、Cambridge学派の錚々たる教授陣がこれだけの新書で丁寧に解説されていて非常に読み応えのある書物です。これから経済学説史などを勉強される人は勿論のこと、再びピグーなどの理論を追いかける意味でも読まれるべき本だと思います。