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新潮選書 世界文学を読みほどく (新潮選書)新潮社 価格(new/used): 1,680 円 / 798 円 より 発売日: (2005-01-15) アマゾン売上ランキング: 146309 位 単行本 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 7件 小説の読み方を学ぶ名作とは、誰もが知っているのに誰も呼んだことが無い作品を言う というジョークがあります。自分にとってはトルストイの「アンナカレニナ」とかプルーストの「失われた時を求めて」というのがそれに当たりますが、とは言え中身を知らないとサスガに後ろめたい。 こういう気持ちをわかる人には要約よりは深く、しかし批評よりは浅く世界文学を紹介している本書は大変身の丈にあった本だと思います。 深みが無い、という批判もあるようですが、自分にとってはソファに寝転がりながら読み飛ばせる本書はなかなか面白かったです。 「読みほどく」というよりは、「はじめての世界文学」という感じ京大での集中講義という触れ込みの本書だが、 ナボコフ級の名講義を期待すると肩透かしを食らう。 時間的制約もあったとは思うが、 個々の作品の歴史・地理的背景についての 大まかな説明が導入部でなされるほかは、 「講義」の殆どがあらすじの紹介で終わっており、 ところどころに著者独自の切り口が示されるものの、 「読みほどく」というところまでは 到底届いていないという印象を受けた。 とくに、トルストイが全然読めていないと思う。 とはいえ、本書に挙げられた作品を あまり読んでいない人にとっては、 興味のとっかかりを見つけるブックガイドとしては、 それなりに有効かもしれない。 私自身、ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』は未読だったので、 読んでみようかという気にさせられたのは確かだ。 ただ、自分の作品を錚々たる「世界文学」に並べるのはどうか。 もちろん、実作者だから語りうることも多くあるはずで、 講義の場を借りてつい語りたくなったのかもしれないが、 個人的には、池澤氏は「評論家」だと思っていて、 氏の小説自体はあまり高く買っていないので、 (理由は単純で、知性の勝った人が小説を沢山読んで 頭で捏ね上げた話だという印象が拭えないからだ。) 自作について語るなら、場を改めて欲しかったというのが、 正直な感想である。 蛇足になるが、『魔の山』の回で、 例によってドイツの歴史地理的事情を語りながら、 ドイツがフランスよりも中央集権の遅れた後進国で、 地方分権的な構造の国家であることについて、 「それは、統一が遅くて、地方に小さな国がたくさんある状態が 長かったからではないかとぼくは考えています」(p.215) と述べられているが、別にそんなことは池澤氏に考えてもらわなくても、 すでに共通認識と化した事柄ではないかと感じた。 小説を読む楽しさを教えてくれる数多ある小説に一つの系譜を読み取るとすると、こんな具合になるのかと感服しました。スタンダール、ドストエフスキーの小説は「一人の神から派生したディレクトリ、樹木状の構成」をした世界であるが、「世界は個々の項目の羅列から成り立っていて、それらの間には関係性が深いものと深くないものがある。全体を統一するディレクトリはない」ことをメルヴィルは『モービ・ディック』で書きたかったのではないか、そしてジョイスの『ユリシーズ』がこれを極め、ガルシア=マルケスが『百年の孤独』で新たな小説を提示する。それは細部と全体が同一のパターンを示すフラクタルにつながる。 小説を読むことの楽しさをつくづく教えてくれます。挫折していた『カラマーゾフの兄弟』を読み始めたくらいです。そしてレメディオス・バロや入沢康夫など、池澤夏樹がこだわっている人もまた魅力的。これでは人生が何百年あっても退屈しない気にさせる。 ただ、池澤氏の解釈もまた、バラバラに存在する小説群に一つの「樹形図」を見出そうとするものではないのかと思いますが、これまた余計な一言でした。 受けてみたかった池澤さんの講義なんとうらやましい!あの池澤さんの講義が7日間14コマも聞けるなんて、京大生に化けて講義を受けたかった。でも、この臨場感あふれる講義録で10大小説のスリリングな読みほどきを十分堪能できた。読んでいた作品も読んでなかった作品も明快な分析で目からうろこの落ちる思い。再度挑戦の意欲もわくというもの。 充実した時間をありがとう!2年ほど前から池澤さんの作品を読んできました。この作品は小説やエッセーや読書関連の作品とは一味違う大学の講義録ということで、どんなものだろうかと思って読ませていただきましたが、はっきり言ってベリーグッドでした。取り上げられた11作品のうちの3作品しか読んではいませんでしたが、読んでない作品についてもとても面白く、読んだような気分にさせられてしまいました。世界の名だたる文学作品を一つずつ読むことを通して、今の我々の直面している世界とはどういうものであるのか、今の人はどういう入れ物の中で息をしているのかということを明らかにしていただいたと思われます。随所に挟まれる最近の世界や日本の状況へのユーモアに溢れた鋭い指摘も、池澤さんならではの内容と切り口で何度も頬を緩めてしまいました。読み終えてみると、文学論・文学作品の鑑賞というよりも、むしろ『世界のために涙せよ』の番外編とさえ感じられました。3日ほどかかって読みましたが、充実した時間を本当にありがとうございました。またおかげさまで、読んでなかった作品もいよいよ読んでみたくなりました。 |