東京・居酒屋の四季 (とんぼの本)

- 新潮社 価格 ¥ 1,365
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東京・居酒屋の四季 (とんぼの本)


新潮社

価格(new/used): 1,365 円 / 739 円 より
発売日: (2005-07-22) アマゾン売上ランキング: 136380 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 2件

太田和彦を誤解していた
 池波正太郎は時代小説の“余芸”で食い物エッセイ書いてるからいい。でも、演芸評論家だったくせに、いつのまにかグルメ評論家にシフトしたマスヒロは胡散臭い。なんか、そういう価値基準が自分の中にあって、太田和彦は、池波正太郎とマスヒロを両極とする軸があったら、マスヒロに近いかな?って先入観を持っていた。つまり、それは、“旨いもん食って、それ自体でおまんまいただいている”ってことに対する僻み、妬み、嫉みだ。
  だけど、パラパラめくってみたら涎が出てきたので、本腰入れて読んでみた。そうしたら、先入観、偏見を払拭するような好著だった。太田和彦を誤解していた。
 「名酒は冷やで」って半可通がまかり通る世の中で、ぬる燗主義ってのがいいし、しかも「好き好きでいいんですよ」って居酒屋主人の言葉を挟んで、燗にこだわる自身も相対化しているのがいい。こうした、自らの“酒飲み”って行為や“居酒屋評論家”って肩書きを権威化、特権化しない方向性の意識は随所に見られる。「ひとり黙然と物思いに沈んでいるように見えるかも知れないが、考えていることはただ一つ、「次、なにを頼もうかな」だけだ」とか。「鮪もいろいろです。高い値を出せばいいものはありますが、そこは酒の肴ですから」って店主の言葉の紹介とか。
 それと取り上げられているのが誰もが納得する定番メニューであることと、そのメニューが十八番であるとして紹介される居酒屋が的確であろうことの、著者の見立てに対する信頼感である。いくつか知っている店に対する紹介の仕方や評価が、どれも納得出来るのだ。本筋と外れた余談部分の著者の趣味趣向にちょっと団塊臭が感じられるけど、まぁそれもご愛嬌の域。先入観を覆すのに十分な、著者の力量が感じられる本だと思う。
居酒屋の世界
東京の老舗居酒屋とお店の看板料理(きっと外にもおいしい料理がたくさんあると思いますが)を季節ごとに沿って掲載しているもので、写真の質も文章もシンプルな構成で、読んでいて楽しいしお店にも一度は訪れたくなります。

ロンドンのパブ・ミュンヘンのビアホール・パリのカフェに無い魅力を東京の居酒屋に感じてしまう一冊でした。