フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

Simon Singh - 新潮社 価格 ¥ 820
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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

Simon Singh
新潮社

価格(new/used): 820 円 / 373 円 より
発売日: (2006-05) アマゾン売上ランキング: 1035 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 66件

ヒーロー物語
ハッキリ言って、今年読んだ本の中ではNO.1です。

『ポアンカレ予想』を読んで、数学読み物に興味を持ったのですが、訳も合わせてこちらの方が読みやすいです。自分は数学の素養はまったくないのですが、苦もなく、というより読むのを止められないほどの面白さでした。

最終的に“フェルマーの最終定理”を証明したアンドリュー・ワイルズというヒーローの物語とも読めますし、一つの命題をめぐる300年に渡る群像劇をも読めます。とにかく、胸躍る話しなのは間違いありません。

文句なしの★5つです!
「過去の奇問」が再び脚光を浴び、ついに解かれるまで
 とくに「数学好き」に向けて書かれた本ではない.内容&構成ともにとてもよく,たいへんに面白いノンフィクション.日本語の文章も,訳本とは思えないほど自然で読み易い.

 内容はもちろんフェルマーの最終定理が証明されるに至るまでの話.この定理の方程式は,義務教育で誰もが習うピュタゴラスの定理(直角三角形に関する定理)を拡張したもの.このピュタゴラスの時代(紀元前)から,フェルマーの最終定理の誕生(近世),そして現代へと,歴史的な流れをわかりやすく追えるように話が展開.

 現代の数学界では,ほんの20年ほど前まで,このフェルマーの最終定理は「過去の奇問」としてキワモノ扱いされていた.つまりプロの数学者はほとんど無視していた.ところが,戦後すぐの頃に2人の日本人数学者が提起した仮説が端緒となって,このフェルマーの最終定理を証明することが,応用上の意義を含めて現代数学にとって絶大な価値をもつことが判明したという(谷山・志村予想).フェルマーの最終定理の解決が,全世界の数学者にとってメジャーな関心事となったのだ.

 その大問題に挑んだ数学者アンドリュー・ワイルズの努力の8年,ある致命的な挫折を経てから,改めて証明をなしとげるまでの描写がよく出来ていて,心打たれた.
原作者と翻訳者に適材を得た実に読みやすい本
約500頁の本だが、読みやすく、かつ数論の面白さ・美しさを実感できる好著である。まず著者サイモン・シン(さすがインド系と言いたい)がアンドリュー・ワイルズによるフェルマーの最終定理(正確には証明前は予想)の証明に至るまでの数論の歴史(ピュタゴラスに始まり、フェルマーはもちろん、その最終定理の証明にその事績が貢献した大数学者として、オイラー、ガロア、そして日本の谷山豊、志村五郎等の重要人物が紹介される)をよくわかっていることが、本書の成功の第1の要因だ。フェルマーの最終定理とは直接関係はないが、素数の面白い性質の話等も豊富。また、ガロア、数人の女性数学者、そして谷山氏等の劇的な生涯もよく調査している。

フェルマーの最終定理の証明は結局谷山=志村予想を証明することに帰着する。その谷山=志村予想とは、それまで無縁と思われた数学の2つの領域の統一であって、物理学でいう力の統一に相当する大胆な発想であった。このあたりの記述は、本当は難しい数式ぬきには正しく理解できないことだろうけれども、概要はわかる。噛み砕いて、簡素化した例を交えて説明する著者にまず感謝したい。そして、この革新的な発想を日本人がなしたことを私は誇りに思う。

本書の成功の第2の要因。それは翻訳者が理科系出身で、数学の美を知っている人であり、かつ翻訳が秀逸なことである。原作の素晴らしさ、そして数論の面白さ・美を読者に伝えようという意欲が十分伝わる翻訳で、日本語としてよくこなれている。翻訳者にも感謝したい。

このように原作者と翻訳者に適材を得、古代ギリシャからの数論の歴史を俯瞰し、かつフェルマーの最終定理(谷山=志村予想)を証明するためのアンドリュー・ワイルズの8年間の激闘を数学の専門家でない者でも一気に読ませる感動的な稀有のノンフィクションとして、私は本書を高く評価する。
数は美しいが、数学は斯くも厳格で難しい
フェルマーの定理はピュタゴラスの定理の応用ともいえるもので、問題の意図するところは中学生でもわかるし、証明できそうな気にもなる。
その一方で、当のフェルマーは『この命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない』と挑発。この挑発に対する挑戦が350年も続くことになる。

フェルマーの定理の存在は大学の授業で知り、社会人になってから新聞の社会面で証明されたことを知ったが、フェルマーが挑発的であったことやピュタゴラス教団なるものがあったこと、日本人数学者もフェルマーの定理に関与していること等は本書を読むまで知らなかった。

本書はフェルマーの定理に関与した数学者に関するドキュメントである。350年間の過程、ワイルズが証明に至るまでの過程を丹念にかつドラマチックに描写しており、さらに、π(パイ)と河の長さ、素数とセミ、無限ホテル等、教科書には記載されていないような挿話もある。数のもつ美しさ、数学の厳格さや、捉えようもない難しさを、理系にも文系にも馴染みやすく書いた良質の数学ノンフィクションである。

ただし、以下の2点が引っかかり、読み終わった後に爽快感を感じることはできなかった。
まず、ワイルズが得た感動、爽快感を共有できないこと。ワイルズは20世紀のテクニックを駆使して証明をしているため、証明の内容は高度であり、理解するには相当に高度な数学知識を要する。本書は前半では数学をわかりやすく記載さいているものの、後半に進むについて数学的なテクニックに関する記載は少なくなり、クライマックスのワイルズの証明は、具体的な内容がほとんど記載されていない。本書に責任はないのだが、星5つにし難い点である。

もう一点は、『未解決の大問題』として挙げられている四色問題や球体充填問題が蛇足であること。どうぜ蛇足を書くなら、未だにフェルマーの定理と格闘している数学者を追って欲しかった気がする。フェルマーはワイルズと同じ方法ではなく、17世紀のテクニックで証明しているはず。未だに、フェルマーの挑発に挑んでいる数学者は執念深いのか?ロマンチストなのか?
つまらない数論がどうして?・・・大学時代に読みたかった!!
500ページの大作ですが、この2008年夏休みに一気に読みました。
大学の教養過程の微積分の教科書の最初の方にあった、あの
つまらない数論の背景に、このようなドラマチックなドラマが
隠されていたなんて・・・。大学時代に読みたかったです。
そうすれば、私の人生も変わっていたかも。

サイモン・シン、とんでもない才能です。本書は、
「フェルマーの最終定理」を縦軸に、「ピタゴラスの定理」
から現代数学の最先端までの、数論に関する最良の数学史と
なっています。無味乾燥でつまらなかった数論も、背景を
知ることにより、なんて面白い学問なんだろうと思い直して
しまいました。最良の数学の副読本に出会った感じです。

また、この本を通して、数学者という人種がどのような人間か
ある程度わかったように思います。数学者には「美」に対する
研ぎ澄まされた感覚が必要なこともわかりました。「証明」に
かける数学者の異常とも思える執念も。

文系を含めて誰が読んでも面白いと思いますが、特に、大学に
入りたてで、数論に辟易している教養課程の理科系の学生に
進めます。人生が変わるかも。