![]() |
勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘ... |
| Ernest Hemingway - 新潮社 価格 ¥ 580 | |
| home|書籍|CD|DVD|ゲーム|ソフトウェア|家電|キッチン|おもちゃ・趣味 |
![]() |
勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)Ernest Hemingway 新潮社 価格(new/used): 580 円 / 50 円 より 発売日: (1996-06) アマゾン売上ランキング: 109209 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 9件 「マッチョさ」とかけ離れた短編集ヘミングウェイへの先入観である「マッチョさ」とかけ離れた短編集。 大変繊細な感性の持ち主でないと捉えられない世界を切り取り、そしてそれを的確な言葉(もっと言えば行間の言葉)で示す姿に圧倒。 短編小説の名手でもあったヘミングウェイヘミングウェイは好きな作家で、ハードボイルドな作家として認識していました。 「誰がために鐘は鳴る」、「武器よさらば」、「日はまた昇る」、「老人と海」と読んできましたが、短編全集が出るとのことで、買って読んでみました。 一言でいって、ヘミングウェイは短編小説でも傑作を残しているんだと感じました。 また、単純にハードボイルドな小説ばかり書いているのでないことも分かりました。 本書に収められている短編では、「何を見ても何かを思いだす」が一番印象に残りました。 本当に短い話ですが、自分が育てた息子を何とも言えない形で失った悲哀というものを感じます。 ユーモアを交えた話から、哀調を交えた話、そしてハードボイルドまで、堪能できる小説集だと思います。 鮮やかに立ち昇る感情アーネスト・ヘミングウェイの才能と魅力は、短編でこそ発揮されうるのではないか。短編小説が小説の一分野であるならば、この作家はそこにおける最高の作家の一人ではないか。そのようなことを考えさせられる素晴らしい短編集です。 ヘミングウェイはその長編小説において著名ですが、内戦や海といった舞台のために「男性的」な作家であるという認識が広がりすぎているのではないでしょうか。その表現が全く不適切な訳ではありませんが、この作家の真の才能と魅力は別のところにあります。情景の描写や登場人物の会話の行間から、登場人物の感情が立ち昇り、それが私達の心を揺らします。これは仄めかしや勿体ぶりとは全く異なるもので、ヘミングウェイの豊かで繊細な感性、それを表現する才能と技術ゆえに遂げられるものです。こういった魅力が、この短編集では長編と同等あるいはそれ以上に堪能できます。 個人的な意見になりますが、十ページの小品『クロス・カントリー・スノウ』について述べたいと思います。これは私がヘミングウェイの作品のなかで初めて接したもので、米国のスキー雑誌『POWDER magazine』(2000年1月号)においてでした。ニック・アダムス(彼の人生の折々を描いた作品群が、これらの短編集には収められています)と友人のジョージがスイス・アルプスをスキーで滑降し、ロッジでのひと時の休憩の後に再び滑降して行く、ただそれだけのストーリーです。そこで描かれるのは、滑降やロッジの描写、二人の間に交わされる途切れがちな会話、それだけです。しかしそこからは、結婚と妻の出産を控えたニックの後悔とも諦念とも似て非なる言い難い感情が、鮮やかに浮かび上がってきます。 以前の私のように「男性的」であることを恐れ、ヘミングウェイの作品を紐解くことを躊躇している方がいれば、この短編集から入ることで、この素晴らしい作家の世界へとよりスムーズに引き込まれるのではないでしょうか。 哀愁ある男の文学ヘミングウェイの短編ないし掌編17作品を収録。 一般的に、ヘミングウェイは、その外面的なワイルドさや、それに見合うアウトドアな作風が魅力であるように思われているのでしょうが、私が思うヘミングウェイの最大の魅力は、特にバーなどでの静かな場所での、会話の裏から漂ってくる哀愁の表現、といった点です。 故に、本書の中では、『清潔で、とても明るいところ』、『世の光』、『スイス賛歌』、『ワイオミングのワイン』、『父と子』、『キリマンジャロの雪』などが、私的に好きです。私は、中でも、『清潔で、とても明るいところ』が一番好きで、夜中に独りで、静かにひっそりと、何度でも味わっている作品です。 そのライオンさながらの外面の内に秘めた、ヘミングウェイの繊細さや、微細な哲学が、文字の奥から蠢き出しています。ヘミングウェイの手法は、「氷山の理論」と呼ばれるもので、それとは、「真意の7/8を隠し、1/8のみを文章として浮き上がらせる手法」のことです。つまり、読者は、文字として現れている表面の意味以上のものを、探りながら読んでいくことで、初めてヘミングウェイのことを、本当の意味で理解し得るということです。ただ、こういった翻訳書でも、十分に楽しむことは出来ますが、本来は原書で、その「氷山の理論」を用いた、ヘミングウェイのゴリゴリした文体を味わうことが、ベストであるには違いありません。 一読しておくと、何処かに旅行にでも行くときに、鞄かポケットに、入れていきたくなるような一冊です。 虚飾を廃した短い作品群であるが故に、その中でお気に入りの作品が見つかれば、人生の御供になり得ますし、噛めば噛むほど、味が出ます。 大久保康雄さん訳で読んでみたかったヘミングウェイの短編に関しては、以前は新潮社から大久保康雄さん訳で「ヘミングウェイ短編集 上下」として出ておりました。それからこの「ヘミングウェイ全短編」が出たわけです。原書でも全短編を読んでみた上で双方を比較したのですが、訳の完成度は大久保訳の短編集の方が上です。高見訳の方が直訳に近くて事務的に訳した感じがします。 それでもヘミングウェイの生前未発表作も含めて全短編を日本語訳にされたことは私は評価したいと思います。でも大久保さん訳だったらもっといいだろうにと思ってしまうところがあり、結局星3つといったところが妥当ではないでしょうか。 同じテーマの商品を探す
|