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両性具有の美 (新潮文庫) |
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両性具有の美 (新潮文庫)新潮社 価格(new/used): 420 円 / 41 円 より 発売日: (2003-02) アマゾン売上ランキング: 91411 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 6件 男色と南方熊楠1997年に出た単行本の文庫化。 両性具有、男色、南方熊楠などをテーマとした16篇からなるエッセイ。 思想の深さはともかくとして、文章の味わいには素晴らしいものがある。堅牢であり、流れるような名文だ。 しかし、内容にはけっこう疑問が残る。南方熊楠についての事実関係には誤りが多いし、彼の人生・人格への考察にも首肯しがたい部分が少なくない。熊楠という人を、それほど良く知らないまま、自分のなかで想像を膨らませて書いたものという気がする。それはそれで一貫した世界観をつくっていて面白いのだが、受け入れることは出来ない。 歴史的な問題としての両性具有や男色の話に、女性が正面から切り込んだものは珍しい。その眼差しには勉強させられる点が多い。 白洲正子の長所と欠点彼女は主婦雑誌に必ず憧れの女性として取り上げられる。独身の私は何故か大学時代にハマッた。著書の内容が学んでいた仏教に通じるからだろう。評論家志望として文を味わうと、思想が堅固な割に理論に欠ける。文章家として手本にすべきでない。これは師の一人小林秀雄にも言える。長寿で下手な文才を補った。 ただ思想に学ぶべき所は多く、外国人に日本文化を紹介する為のテキストに最適。この本は特に日本の性差の曖昧さについて考えるきっかけになる。私のような人間は現代日本はもちろん欧米では特に同性愛者と誤解されがちなので、自分の立場を考えるヒントにもなった。 購い難き刹那の美わが国では男色は罪とされておらず衆道として武士のたしなみの一つだとは知ってはいたものの、これほど広がっていたものとは思わなかった。 菊花の契り、や稚児信仰、天狗信仰といった独特の文化などの日本文化の深さを知った作品であった。 白州さんというと能の解説や評論に関する本を愛読させていただいていた。 今回の本を読むまで能の両性具有性がこのようにエロティシズムを含んだものだとは思っていなかったし、題材の根底に流れる同性愛などは想像もしていなかった。 確かに、女性が男装して舞ったり、子方とシテのただならぬ関係を類推させる作品は多い。 少年が男性になるまでの一時期中性的せつな的美しさは、武将や聖職者といえども購い難きものであったのであろう。しかも倫理的、宗教的にタブーとされていなかったのだからなおさらである。 日本の衆道のことをキリスト教圏の友人に話したら非常に驚かれた。キリスト教においては大罪である。 ここ数年は同性愛もかなり容認されるようになってきたものの、やはりかなり偏見もある。 女装した少年ではなく、男性のままで女性の色気を感じさせる両性具有の完璧な美しさを備えた少年が目の前にあらわれたら私もひれふしてしまうかもしれない、そんな完璧な美しさをもった少年の姿を本を読みながら思い浮かべていた。 白洲正子は「性」を語りえたか?私の答えは"no"。(私は基本的には白洲正子ファンなのですが) タイトルは「両性具有」だか中身のほとんどは衆道のお話だと言うことが端的に表している。つまり男が男のままで男を愛するという図式だってあるんだから。彼女の語る衆道は現実と言うより多分に彼女のファンタジーのような気がする。 個人差より性差を重視するのは、また筆者と人生経験があまりに違うせいか、またフェミの洗礼を受けてしまったせいか私にはどうも納得しかねた。それが時代の制約というものなのかもしれないが。 筆者は青山二郎や小林秀雄などと交遊があったとは言え、「白洲次郎の妻」というガードがあったおかげで結局はいい家の奥さんの枠を出ることはなかった。性のおどろおどろしくも多彩な世界を知らないでも生きていけたのでは、と思う。(私的には知らないで生きていける方が人間的には幸せだと思います。) また「女に能は無理」の論拠が「自分でやってみて」というのはどうなんでしょうか?「自分はできなかったが他にできる女性がいるかも?」って考えられなかったんでしょうか。 文庫化されましたハードカヴァーの単行本として出版された時に、取り急ぎ買い求めました。そして今、文庫版となって入手しやすくなったので、重ねて購入した白洲正子の諸作中でも最も気に入っている本です。 ヴァージニア・ウルフの「オルランドー」からはじまり、「菊花の契り」、「賤のおだまき」、「新羅花郎」、「稚児之草子」、「稚児のものがたり」、「天狗と稚児」等々といった主に能楽に通底する我が国の男色文化の流れを辿った興味深い書物です。 南方熊楠と岩田準一の本朝男色史研究や仏説の「龍女成仏」なども含まれていますよ。 |