ベッドサイド (新潮文庫)

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ベッドサイド (新潮文庫)


新潮社

価格(new/used): -- 円 / 1 円 より
発売日: (2000-09) アマゾン売上ランキング: 277124 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 5件

女心の細やかさ
“赤い鼻緒がぷつりと切れた すげてくれる手ありゃしない” 歌手・坂本冬美さんの代表曲の一つ『夜桜お七』の冒頭部分。
作詞も手がけるこの有名な作詞者が本歌集の詠み手である。
そんなイメージも見事に裏切ってくれるのがこの本です。
性的な表現が多いですが、ただエッチなだけじゃないんですよ。
女心がつまっているので気持ち入ってます!(強調)
だから一概にはエロとひと言ですませたくない本でもあります。
うまく包み込んだ表現
最近短歌や俳句で性描写を表現する作品が増えている。そうした作品の中では、比較的表現がストレート描写でなく、文学的な感性にうまく包み込んだ表現で処理している。その点を評価するか物足りなく感じるかが、この本の評価の分かれ目になるだろう。全体に性生活での性描写というより、その時点での心のつぶやきといった趣かもしれない。割とじっくり味わえる作品ではあるだろう。女性向きかも。
これからが勝負かも
中学生だった頃の私は林氏の歌集でのその直截的な表現にとまどった。思うに当時私はエッチとは悪人がするものだと考えていて、林氏の写真で見せるとてもやさしそうな表情と、直截的な性表現とのギャップをどう考えていいのかわからなかったのだ。しかし現在ではおそらく中学生でも「エッチとは悪人がするものだ」などと考えていない。

今回、私もそれなりに年齢を重ねて林氏の「ベッドサイド」を読んだ。テーマはやはり性的なことがほとんどなわけだけど、ある歌ではある種の爽快感を感じたし、またある歌では女心の細やかな機微を(and so on)読み取れたわけだけれども、こうしたものは性を題材にしなくとも詠めるのではないかとも思った。短歌自体を多くは知らないので彼女の歌が特別優れているのかどうかは正直わからないけれど、読んでよかったとは思った。しかし性を表現するだけで目立ってしまうような時代でもない。これからが勝負と思った。

行間に漂うイメージ
 まず、贅沢である。 
 なにが贅沢かというと、デビューから歌集「ベッドサイド」に至るまでの作品が収録されている。それらを時系列に読みすすめると、彼女の歌の世界観が少しずつ広がっていく過程を感じ取ることができる。これはなかなか貴重なことである。

 本文にはひとつの見開きに概ね4つの短歌があり、歌と歌の間には恋人どうしが横たわる――愛し合うといったほうが適切か――空間と漂う時間が鮮明にイメージとして湧いてくる。古歌の風習や決まりごとよりも、生きている人間のその瞬間を切り取って詠む彼女の歌は心身に心地よく馴染む。ぼくはこのような歌を詠む歌人をほかに知らない。

 ちなみに、上製本の「ベッドサイド」では、彼女の操ることばの柔らかさを、線の細いなめらかなタッチのイラストが巧みに彼女の世界観を描いており、一見の価値がある。

もう少し情緒が欲しいかな
たしかに斬新な性描写が多く「そうそう」と思う作品もありますが、あまりにも直接的なのでもう少し「詩」としての情緒があったらもっと良い作品になるのでは…。