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ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマ... |
| - 新潮社 価格 ¥ 500 | |
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ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉 (新潮文庫)新潮社 価格(new/used): 500 円 / 279 円 より 発売日: (2006-09) アマゾン売上ランキング: 31039 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 4件 2千年前とは思えないローマのインフラ整備ローマ人のインフラ編後編。 前編に続くハードなインフラでは「水道」を取り上げます。人口120万人にも達したローマ市内への水道は9本にも上り、ローマ繁栄の隠れた要因である衛生面の整備が完璧に機能していたことを裏付けます。それにつけても驚きなのは、2千年前に作られた水道の一部は、いまだに現役水道として機能している点。かのトレビの泉にあふれ出る水もこの時代の水道から引いているとか。 後半はソフトなインフラで医療と教育を取り上げます。ローマ地図に病院と学校がないにもかかわらず、国民の健康と知的水準を維持していた秘密を明らかにします。その秘密には、やはりあの人が関わっています。ローマっ子たちの日常的な学校生活を紹介するくだりは微笑ましく、当時の生活がいきいきと目に浮かぶようでした。 ローマ人のインフラだけにスポットをあてた本作。シリーズの一部としてだけでなく、この作品単独でも十分楽しめる内容になっています。 古代ローマに学ぶパブリックの精神性上巻はおもに道だったが、下巻は水道と医療などのソフトインフラ部分。 インフラとは「人間が人間らしい生活をおくるためには必要な大事業」という上巻の結語を引き継いでいる。そしてそれを実行したローマ皇帝。 塩野さんは、ほとんどのローマ皇帝はストア派であるとおっしゃった。ストイシズムとは「他人のために」であり、エピキュリズムは快楽主義なんかではなく、「自分のために」であると。 かといって、ローマ皇帝は自分の時間の中でエピの部分も持っていて、そのバランスがあったからこそ、国がうまく治まったのだと。 日本も共和制ではなく、やはり独裁的な帝政のほうがあっているのかも。 インフラの話だけでここまで読めるとは・・・ローマ帝国という国の特殊性と先見性は、インフラを追えば追うほど顕著になってくる。 前作の街道敷設と並行して行われた水道工事。現在の都市と比較しても古代ローマに流れ込んでいた水の量は倍にもなる。そしてそれを採算度外視で疑いも無く国の責務だとして押し進めていった国民性には恐れ入る。一般人のチマチマした感覚で政治を行っていたら絶対に無理な大事業であったろう。 更には医療機関や教育機関にまで話は言及していく。現在ではかなりの部分が公的な整備を頼りにしているこの分野も、カエサル手動で税制優遇だけ与えて自由経済の中に放り出されたがゆえに面白い発展を遂げていく。 そんな全てのことが、キリスト教の「信じるものは救われる」がひろまるにつれ味気ないものになっていく。 社会のインフラ塩野七生が ローマのインフラに挑戦している「すべての道はローマに通ず」の後編。前編がローマ街道に焦点を当てたが この後編は ローマ水道と ローマの医療・教育に焦点を当てている。 医療教育も興味深いが やはりローマ水道関係が白眉である。これはローマ街道も同じだが要は 実物が21世紀の現代にまで 残っているという点が 圧倒的である。文庫本としては大変贅沢なカラー写真を満載した本書を読んでいると ローマの偉大さが ビジュアルに迫ってくる。 塩野の凄みは「ローマの水道の素晴らしさ」では無く 「ローマの水道を造り上げたローマ人の精神」に話を収斂している点にある。「インフラ」という言い方を塩野はしているわけだが「水道が社会に齎す重要性」を正確に理解出来るような ローマ人の「精神」が ローマ帝国をかように長大なる版図足りえたかという点が実に分かる。塩野が ここで語っているのは 政治というものが いかにインフラを考えることで社会の安定と発展につなげるかという点であるのだ。 その上で 塩野がさりげなく指摘している点は 現代の世界においても 2000年前のローマ帝国よりも 社会的インフラが不足している国がいくらでもあることである。これは良く考えなくても驚くべき事だ。 「ローマ人の物語」の連作は 真に「政治がなすべき使命」という点で誠に得がたい一巻となっている気がする。 |