ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマ...

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ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫)


新潮社

価格(new/used): 500 円 / 71 円 より
発売日: (2006-09) アマゾン売上ランキング: 3791 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 6件

ローマ人の気質を表す「インフラ」整備の歴史
これまで建国から時代を追ってローマ人を語ってきたシリーズですが、本書はその番外編ともいえる位置づけで、ローマ人が築き上げた「インフラ」にフォーカスをあてたもの。
延べ8万キロにも及ぶ街道網を築いたローマ人ですが、意外なことにラテン語には「インフラ」という言葉がなく、それに代わる言葉は、直訳すれば「(人間が人間らしく生活を送るために)必要な大事業」。「インフラ…くらい、それを成した民族の資質を表すものはない」と塩野氏が信じていたとおり、ローマ人が合理的で柔軟で公共性の高い民族であったことを強く感じさせる内容です。
前巻の本書では、「街道」「橋」が取り上げられています。巻頭カラーをはじめ豊富な図表と写真を交えて、ヨーロッパ、アフリカ、小アジアに残る遺跡などから、当時のローマ人のインフラに対する考え方を論じていきます。
冒頭、塩野氏は「(戦記もののように)一気に読了するとか手に汗握るような描写はなく、読むのが困難である」ことを読者に断っていますが決してそんなことはなく、大変面白かったです。
インフラの重要性をこのさい再考すべし
本書はインフラを中心にした古代ローマの話になっている。
「すべての道は…」の別の意味は、道路というインフラの整備によって、ローマは世界一の帝国であり、首都であることを表しているのだろう。
日本では道路批判が続出しているが、はっきり、造り過ぎである。なぜ取捨選択しないのか、なぜ「地方は望んでいます」といった衆愚に頼るのか。
ローマ皇帝は、誰一人として、自分の家や故郷に道路や水道を通すようなことはなかった、と塩野さんはおっしゃった。比して日本の政治家たちは、地元のためと証して不便な空港を作り、新幹線の駅をつくり、そのほかの施設も…。この人格の低さ。これではだめだ。
もう一人の天才に始まる大事業
カエサルが飛びぬけ存在感で描かれていたこのシリーズだが、インフラを主役においた今回に限って言えばアッピウス・クラウディウスの天才ぶりも見逃せない。
著者自身「ローマ時代の偉人でこの人の頭の中はどうなっていたのだろう?と本気で考えてしまうのはカエサルとアッピウスだ」と語っている。
ローマ発展の礎を築いたといってもいい街道網と上下水道の整備。万里の長城は外敵を入れないために築かれたものだったがローマは外への道を広げることによってその基盤を絶対のものにした。この思考の違いが面白い。
「必要な大事業」
この上巻では、ローマ街道だけを取り上げている。
ローマ街道の成り立ちや、構造、果たした機能、と見ていくと、
ローマと言う国家の面白さが本当によくわかる。

なにより、ローマ人自身は「インフラストラクチャー」という言葉を使っていなかった、
というまえがきの文章に驚いた。
読み終えてみれば、まさにローマ人の言う(行う)とおり。
公共事業とはこうあってほしい。

そもそも、国家とは、
「人間が人間らしい生活をおくるためには」
必要なものであって、それ以上でも以下でもないものと思う。

選挙間近、この本を読み直してしまった。
時系列を飛び越えて
 塩野七生のローマ人の物語は 発刊を楽しみにしているシリーズである。このレビューでも幾度か取り上げたが 実に面白い。

 27巻は 従来とはがらりと趣を変えて ローマ街道に絞った一巻である。ここまではローマの誕生以来 時系列的にローマを語ってきた塩野が 「時系」を放り出して ローマ街道と その一部をなす 橋について 集中的に語る。意欲的な実験作であると言って良い。こういう大技が出来るのは 歴史家ではない塩野ならではである。

 我々は ともすると 歴史上の人物を通して その時々の時代を見る。それに対して 塩野はローマ街道を作り上げたというローマの精神を 主人公にしている。読んでいて ローマ人たちが 社会というもの 政治というもの 外交というものを どう考えていたかが はっきり分かり 小気味が良いくらいである。戦いも 陰謀も 恋のさや当ても出てこない歴史小説が かくも面白いことには いささか愕然とした次第である。