さぶ (新潮文庫)

山本 周五郎 - 新潮社 価格 ¥ 660
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さぶ (新潮文庫)

山本 周五郎
新潮社

価格(new/used): 660 円 / 1 円 より
発売日: (1965-12) アマゾン売上ランキング: 47095 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 26件

人が生きるということ
学生時代以来、二度目の「さぶ」である。
そのときは、読後泣けて泣けて仕方なかった。
当時の自分が置かれた状況なども影響しているのだろうが、
本当のところ、なぜあんなにも泣けたのかはわからなかった。
その理由を求めての、二度目の「さぶ」である。
今回は泣かなかった。
ただし、大泣きした理由はわかったような気がする。
「人が生きる」ということの困難さ・困難さの逆の幸福・友情・我慢など
「生きる」上でのすべてのことがこの本に詰まっているからだろう。


今風に言えば、サブも英二もいわゆる「負け組」であるが、
「負け組」にも人生はある。
まっとうに生きていれば、何人たりとも恥じることはないと教えてくれる作品である。


人によっていろいろ感じることがあるだろうが、
私にとっては、小説の教科書とでも言うべき作品である。
もし続編があったとしたら、主要登場人物4人の幸福を願わずにはおれない。
しみじみいい作品
山本周五郎さんてほんと文章上手いよね〜。スラスラ読める。言葉もきれい。
さて、本作「さぶ」。題名はさぶだが、主人公は栄二。この栄ちゃんがかっこいいんだよねぇ。やるときゃやるぜって感じで。
そして、さぶがいい奴なんだ。これが。
厚いけど、難なく読める。
個人的には『柳橋物語』の方が好き。
忍耐ってなあーに。
苦難、不当と思われる出来事での心のありようが描かれている。思い、考えが行動を決める。また、その考えを見つめている自分がいる。栄二の心の変遷を通して「人の成長」が語られている。何とは無しに助けたい、側にいたい、よくしたい人がいる。人は自らが知りえない多くのもう1人の自分に支えられているのだと思う。周りにいる人、身近に接してくれる人、何気なく声をかけてくれる人、その眼差し、一言に今こうしていることが有り難く感じられる本です。終わり方も最高ラウンド級の技で、着地もピタッと決まり、一瞬場内が静寂に包まれるようです。
現代に通じる時代劇
時代劇といってもチャンバラではありません。
血気盛んな若い男性や少年に特にお勧めしたい一作です。
おそらく作者もそう考え、若く賢くたくましくも「苦労知らず」と言われてしまう栄二を表側の主人公として書いているのでしょう。

あるときまで世の中を理解したように斜に構えていた栄二は、周囲の人の思惑によってどん底に落ちます。
ひどい仕打ちを受けたことで憎悪に燃え、世間を敵と見なし復讐を誓います。
しかし親友さぶの変わらない友情と地味な性格、そしてそれまで深く関わることのなかった不幸な人々と近づき支えあって生きることで真に成長していきます。
「自分一人が強く賢いだけではやっていけない」
はたして栄二は、自分にとって“さぶ”がどういう存在であったのかを悟るのです。

人の心は、いつ、何がきっかけでどう変わるのか、まるで分からない。
親しい人やただの顔見知りにいつのまにか何故か憎まれていることもあれば、いけすかない奴と思っていた人から恩を受けたり、ふとしたことで親友というほどの仲になっていることもある。
そして変わったように見えても、実は初めからずっと変わっていないのかも知れない。
知らず知らずのうちに親しくされているのかも知れない。それは決して理屈だけで計れるものではない。
この人間ドラマは生きていく上で大切なことを幾つか教えてくれます。

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ちなみに解釈の分かれそうな最後の場面ですが、疑わしい真偽のほどは、さほど重要ではないのでしょう。
おすえがどういうつもりだとしても、彼女を拒絶したなら、きっと不幸は繰り返されたでしょう。しかし栄二はそうはしませんでした。
物語をそこでスッパリと終わらせた作者の潔さに感嘆します。
時代小説ですが現代の物語のように読みました。
青春小説と言ってしまっていいでしょう、青春小説の名作です。時代小説だから、と敬遠しないで下さい。現代の物語といっても通じる普遍性をもった作品です。みんな栄二のような気持ちを抱いているのです。そしてその気持ちは年と共に無くして行くのです。しかし栄二はみんなのお陰でその気持ちを無くして行くのです。その変化の兆しは青年にしか理解できません。そうなのです、この作品は青春時代に読まなければならないのです。でも中年の皆様もOKです。そのまま山本周五郎の「物語」に身を預けましょう。


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