木瓜の花 (新潮文庫 あ 5-16)

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木瓜の花 (新潮文庫 あ 5-16)


新潮社

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発売日: (1971-05) アマゾン売上ランキング: 338632 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 2件

「香華」にはない老境。
「芝桜」の続編。
「芝桜」とよくにた背景を描いた「香華」にはなかった主人公の老境を描いている。

欲得のために手段を選ばぬ凄腕の蔦子と、芸者から足抜きをして料亭を営む正子。
「堅い暮らし」と正子は言うけれど、料亭なんて御大尽か業界人しか行く機会のないところ。
登場する人物は、芸者、歌舞伎役者、大臣クラスのお役人、と世離れした人ばかり。

正子が好きになる男性も、40がらみというのに生活感のない学者さんである。

登場人物の中で唯一地に足のついていた蔦子の母は、強制された贅沢のせいでか惚け果てて没する。

正子と蔦子は時代背景は変わっても同じように、騙し腹立てての繰り返し。

練白粉は一度つけると3-4日はそのままであること、髪を洗うのは月に数回であること、眉墨には桐を焼いて作った炭を使ったこと、など当時の風俗もおもしろい。
着物の豪華絢爛なことは、期待どおり。

美しい売れっ子芸者達の老後
『芝桜』の主人公二人がそのまま主人公ですが、芝桜を読んでいなくても十分楽しめます。羽田空港がまだ日本の玄関だった昭和30年代後半の風俗、着物を普段から着こなし、日本髪を長く結った頭はハゲができるなんていう、花柳界独特の日常の世界も単純に面白いですが、粋で美しかった女性たちが60を目前に老いというものを意識していく様が興味深かったです。どんな美しい粋な女にも老いは来るという残酷な事実。物語の要所要所にでてくる木瓜の花も素晴らしいです。