香華 (新潮文庫)

- 新潮社 価格 ¥ 860
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香華 (新潮文庫)


新潮社

価格(new/used): 860 円 / 645 円 より
発売日: (1965-03) アマゾン売上ランキング: 59845 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 5件

女の一生
数ある有吉作品の中で一押しです。奔放な母に憎しみながらも愛情をすてられない
朋子。戦後の復興の中でも母はと朋子を苦しませ続ける。
そんななかで、わずかな純情な恋、良い旦那、そして店。娼妓にはならない、と
決意から生き抜く力を得ている気がする。
最後の旅先での女将の愚痴があとをひく。
母娘の心の通い合い
放埓に生きる母・郁代と、それを憎みながらも許して生きていく娘・朋子の物語です。

救いようもないような郁代の姿に、どうして朋子は耐えられるのかと理解し難いものがあるのですが・・。理性で考えると、朋子にとって何の得にもならないどころか、迷惑千万な存在の郁代ですが、娘というフィルターを通すと異なる存在に変化するのでしょう。その微妙な心の揺らぎが伝わってきます。

印象に残るシーンは、節分の豆を食べながら語り合う母娘のところです。両者が一瞬でも本音で語り合うシーンはじーんときます。ほんの一瞬ですが。

このシーンで思うのは、私も朋子と同年なのかと感じ入ってしまう所為もあるかもしれません。正確には1歳違うのですが、それまでに積み重ねた人生の重みを比較してしまいました。物語上の人物と比較するのも何ですが、果たして私が朋子のように料亭を切り盛りできるはずもなく、家を建てられるわけでもなく、使用人も使えず、母に尽くすこともできず・・。ぬるま湯の人生を過ごしてきてしまったなあと自分を振り返ってしまいます
母と娘の愛憎がリアルに書かれている
自堕落でエゴのかたまりのような母親に引きずり回され、その犠牲になり、幸せも壊されていく女主人公。しっかりもので苦労性の娘の薄幸の人生。親子の愛憎がどこまでもリアルに書かれている。母と娘って、永遠に敵同士、ライバル同士なのだろうか。
とにかく泣けて泣けて・・・
 私には徹夜本でした。朋子の気持ちがよく書かれているので、苦しくなって涙が止まらないのです。今時の女にはない、ひたむきさを持っている朋子。
 代わって母郁代の心情は語られませんが、美しいということにかける彼女の意気込みは、「華岡青州の妻」のオツギに似ている気がします。つまる所、女はきれいでなくっちゃね、です。綺麗な人には男も女も惹かれますから。でも、娘からみたら最悪の母親です。こんな親ならいらない。
 切ってもきれない親子の縁、伝わって襲ってくる因業、誰のせいでもないけれど、人間だれしも感じる所があるのではないでしょうか?
 家族のことで悩んでいる人にお勧め。解決の足しにはなりませんが、慰めにはなるとおもいますよ。
私は着物文化に興味をもって読みました。
朽葉色(くちばいろ)、御納戸色(おなんどいろ)、鶸色(ひわいろ)。
小手毬(こでまり)、金雀児(えにしだ)、吾亦紅(われもこう)。
戦前からの着物文化を楽しむ、吉原など遊郭の風俗を知る、有吉ワールドを楽しむ、など人により様々に味わえる本。

和歌山の小地主の家に生まれたが、浜松で芸者見習、東京に出てから芸者、料亭の女将として仕事に生きる主人公。
美しく高貴な外見と、地堕落で自制がなく甘ったれの母親。
主人公の日頃の振舞いは江戸なりだが、男性や母との確執に揺れる心には関西の湿気が感じられる。

「紀ノ川」で花、華子と人名で出てきた「はな」の字は、ここでは「花津川」「波奈家」「花ノ家」と屋号として登場する。