カーブの向う・ユープケッチャ (新潮文庫)

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カーブの向う・ユープケッチャ (新潮文庫)


新潮社

価格(new/used): -- 円 / 500 円 より
発売日: (1988-12) アマゾン売上ランキング: 352545 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 1件

トタスコ
そもそも、あなたは今これからこの本を買おうかどうしようかとこのレビューに目を通している、か、既に安部公房愛読者であることに加え、暇と活字欲に身をまかせていたらたまたまここにたどり着いた、あるいはレビューなんかに一生懸命投稿している暇人を見物しているやはり暇人等々、いろいろかとは思いますが、そこはとにかく前者だとしてすすめます。加えて、安部公房未体験でその入口を探している、また、今の時点で、あなたがいわゆる文学好きの読書好き、と、いうほどでもない、とすれば話は尚すすめやすい。というのは、あなたの現時点にはついこの前の私と共通するところがあるからです。本作をきっかけに安部公房を読みはじめてちょうど一年程ですが、出版されている全作品のざっと9割程を読み終えました。さて、私の場合、本短編集に入るにあたり、雑誌をパラパラパラッと一旦全部めくってみて、何かしらひっかかりのあるところから入っていくというような感じに、順番に読まず、まず最初に『完全映画(トータル・スコープ)』(昭和35年の『SFマガジン』5月号掲載)から入りました。「前半はSF、後半は推理小説」という、二機能一体型の電化製品のような、わたしが読んだ安部作品のなかでもおそらく最も語り口の軽い、表面上の体裁としては通俗的とさえいえる作品です。漫画なみの、否、漫画以上の軽さです。しかし、先程改めて読みなおしましたが、やはり面白い。あえて俗に徹してさえも、SFや推理小説におさまりきらず(というか、SFや推理小説とははじめから似て非なるものですが)、はてまた、単なるパロディや風刺にとどまることなく、読み手の思考や「ことば」を誘発する、そこはちゃんと安部公房なのです。また、安部作品の入口として何故この短編集か、については、これから他の安部作品を読みすすめていかれた時に、とにかく、お気づきになるでしょう(あまり説明するのもあれかと思い)。