砂の女 (新潮文庫)

安部 公房 - 新潮社 価格 ¥ 500
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砂の女 (新潮文庫)

安部 公房
新潮社

価格(new/used): 500 円 / 1 円 より
発売日: (1981-02) アマゾン売上ランキング: 26980 位
文庫 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 66件

実は映画を先に見ているのですが...。
映画は遥か昔、大学生の頃に観たのですが、英国の店先でDVDが売られているのを偶然見かけ、久しぶりに原作が読みたくなって本棚から引っ張り出して読んでみた。
言葉を紙面上に紡いで芸術を描くのが文学と言うのであれば、今さらの陳腐な言い方ではあるが、この作品はまさに珠玉の文学だと思う。文学作品には難解なものも多いが、難解であることが文学作品の条件では無い。この作品は難解さを感じさせずに一気に読むこともできる。こういった強引に読み手を引きずり込むストーリー展開から、「よく出来たサスペンス」と片付ける方もいるかもしれないが、ここに描き出される人間の業、辺鄙な部落社会での不自由な幽閉生活の裏返しとして描かれる文明社会への批判、「自由」な社会の住人であるのに関わらず見失ってしまった自己の存在など、作品のメッセージをいろいろと考えながら読むべき作品であると思う。
そういう意味で一度ではなく何度でもくり返し読むことに耐えうる作品であり、読者個人の背景によって様々に共鳴できる要素を持っており、様々な解釈をさせてくれる広がりのある作品だと思う。
安部公房とのなつかしい出会い
 私が安部公房の名を初めて聞いたのは小学校高学年の時だった。四十数年、五十年近く前である。ラジオで「魔法のパイプ」(だったと思う。)が放送されていて、ものすごく面白かった。でも私は作者はお爺さんで、寿命が来てもうあまり長く書けないだろうな、と思い込んでいた。彼の作品をたくさん読みたいのに残念だと思っていた。
 高校生になり、突然、また彼の作品と出会いびっくりする。「赤い繭」が国語の教科書に載っていたのだ。「魔法のパイプ」は子供向けで、めちゃくちゃ面白かったが、それとは全く違った魅力を持つ、ひきつけてやまない、同じ作家の作品があった。そしてまた彼がまだ若い作家だと知るのである。以来、よく分かりもしないのに夢中になって読んだ。そのあと、二十歳すぎまで坂口安吾の本と共に安部公房の作品を読んだ。
 でも25歳のときには、もう安吾も安部公房も卒業していた。嫌いになったわけではない。好きなまんまなのだが卒業したのだ。
 23歳の頃、紀野一義 著「維摩経」を読んだ。これは、もちろんお経の翻訳と解説ではあるのだが、メインは違う。著者の生き様だ。学徒動員で戦争に行き台湾で不発の爆弾を危険を承知で、一人で、手工具で、1752発処理して生きて帰った男の物語である。終戦の翌年、故郷広島に帰った。両親も姉妹もみんな原爆で死んでいた。1年後、東大の印度哲学科に復学し、何事かを伝えるために様々な本を書いた。そして私はこの著者の本は卒業してない。
 今、私が好きな作家は隆慶一郎、中島敦です。
安部公房の読者が何かを感じてくれたらうれしい。
おすすめ
私にとって安部公房は、「名前だけは聞いた事がある」程度の作家でした。
こちらで評判が良いので読んでみたところ、ぶっとびました!

言葉をこんなにも操れる人がいるなんて…。

ストーリーももちろん奇想天外なスチュエーションと展開と結末で面白いのですが
登場人物の心情や、砂の中に埋もれた村や家の様子。
平坦で易しい文章ではないのに、とても分かりやすい。
それは文章に臨場感があるからだと思います。
臨場感がありすぎて、自分まで口や体が砂っぽくなって来ます(笑)

この作品は映画化されたそうですが、私はあまり観たくありません。
安部公房の作品は、行間から各読者の想像を膨らますというよりも
行間を与えることなくストレートに映像が入ってくる感じがします。
映像よりも映像っぽい文章に映画化は要らないのでは…と思うのです。

あらすじは他の方が書いておられるのでその方を参考になさってください。
私はとにかく文章に注目して読んで欲しいです。
砂の質感
この「砂の女」は映画化もされ、安部公房の作品の中ではもっとも有名(ポピュラー)な小説だろう。
優れた作品はジャンルを越えて「文学」に近づくと私は感じているが、この作品も文学と捉えられている事が多いと思う。

安部公房は海外でも多数翻訳され評価の高い作家だが、日本ではSF小説に分類されることもある。
自分が安部公房を知ったのも、SF関係のレビューからだった。
文学だから小難しいのでは?と敬遠している方がいたら。そんなことは無い大丈夫と教えてあげたい。


すり鉢状の砂底に棲む女の家、昆虫の採集に砂丘を訪れた男は薦められて一晩の宿を取るが、その砂底の家から脱出することが出来なくなってしまう。
来る日も来る日も、砂を掻き出す作業に追われ、砂に埋もれる家で脱出しようとあがきながら暮らす男。
その砂の質感、ざらざらとした細かい砂に侵食される執拗とした描写が実に見事で自身の肌に貼りつく砂を感じさせられながら一気に読了した。


まるでその場に自身がいるかの如き体感をさせてくれる、この筆力があってこそ、の作品だと思う。
難しく考えず、唯の娯楽作品と思って手にとっても十分読書に耐える。読んでみて欲しい本。
安部公房の最も高評価を受けた純文学小説です。
「際限なく砂掻きを強いられる世界」とは「現代社会」を比喩的に表現したもので、単純化すれば、「アイデンティティの持てない空虚な現代社会の中に居ながら、なおも人間らしく生きるには、どうすべきか」というような事がテーマの、安部文学の頂点と評価される作品です。おもに、この作品を評価されて安部はノーベル賞候補になったと言えます。レビューを見ていて誤読している方が多いようですが、本当の純文学小説なので、比喩の意味を考えながら読んでみると面白いと思います。なお、より詳しく理解するには「増補 安部公房論」(高野斗志美)などの研究書をお勧めします。「部落」の意味を「村意識」や「部落問題」などと勘違いしないで下さい。また、ドナルド・キーン氏のあとがきは無視して下さい。彼は安部公房を最も誤解した研究者の一人です。


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