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長英逃亡〈上〉 (新潮文庫) |
| - 新潮社 価格 ¥ 580 | |
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新潮社 価格(new/used): 580 円 / 1 円 より 発売日: (1989-09) アマゾン売上ランキング: 51811 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 2件 高野長英の数奇な後半生と江戸時代末期の日本の状況を描ききる吉村昭渾身の名作江戸時代末期、幕末の直前、数奇な運命に翻弄され、獄に囚われた天才的蘭軍事学者・高野長英の獄中生活と、脱獄、その後の逃避行の状況が描かれるスケールの大きな歴史小説。 丹念な事実収集と真摯な執筆によって、現代の読者に、時代と風景と状況と知性とが明瞭に提示され、様々な意味で驚かされる。 そして、高野長英において奇跡的に成立しえた逃避行を成り立たしめたような人間関係を自らが持ち得ているか、読みながら、どう生きるかということが問いかけられる。 死をかけた逃避行と日本近代化への情熱中国辛亥革命を主導した孫文が高野長雄という変名を使ったということからも分かるように、高野長英は、欧米列強のアジア進出の脅威に、最も早くから警鐘を発した江戸末期の医者であり思想家である。鎖国政策を批判した彼は宿敵鳥居耀蔵によって永牢(終身刑)に追いやられる。入牢5年にして遂に脱獄。弟子や牢仲間など多くの献身的な支援により、不可能とも思える逃避行を続け、ついには、島津斉彬や伊達宗城などの大名にまで庇護を受けるようになる。彼が潜伏中に訳した西欧の戦術書は、西欧列強の日本進出に危機感を持つ藩や学者の間で貴重な先進的文献として高く評価される。ところが、皮肉なことに、その翻訳が傑出していたが故に、それだけの高度な翻訳と解説ができるのは長英しかいない、ということで、一時は死亡説が流れていた彼の潜伏が暴かれてしまう。 息詰まるような逃避行の中でも、時代に警鐘を発し日本を救わなければという使命感と、一人の弱い人間としての長英を、どちらかに偏重することなく見事に描ききった秀作である。 |