山本五十六 (下) (新潮文庫 (あ-3...

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山本五十六 (下) (新潮文庫 (あ-3-4))


新潮社

価格(new/used): 620 円 / 1 円 より
発売日: (1973-02) アマゾン売上ランキング: 124157 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 6件

旧海軍軍人のノスタルジアも多少・・・
山本五十六に関しては、およそ支離滅裂な愚将という印象しか湧いてこない。しかしながら、この作品に見るように、戦後も彼を異常に美化する人々が如何に多いことであろうか。大方、戦前、海軍や外務省にいた人々は、自分達は戦争に反対であったのに、陸軍が無茶をしてあんな戦争になってしまった。我々は常に利口でスマートであったという、優越感のようなものがあって、その象徴として山本五十六という存在が必要なのではないだろうか。「二年間は暴れ回ってご覧にいれます。それ以上となると物量が続かないのでそれまでに講和してください」というのは、確かに賢そうに聞こえるが、もし、その言葉通り将来的な講和を睨んでの作戦なら、真珠湾奇襲のように相手の急所を蹴り上げるようなまねはしないだろう。酔っぱらいのケンカでさえ多少の分別がのこっているのなら、せいぜい、胸ぐらをつかんでの取っ組み合いである。結果として、アメリカ人をして、原爆を叩き込んでも良心の呵責に苦しむことないほどに日本に対する憎悪をかき立てたのが山本ということになる。アメリカの国力を知り尽くしていたというなら、政治の延長としての作戦を優先するべきではないか。もし漸減邀撃作戦に類似した戦い方を選択していたならば、かなりの長期にわたって交渉の可能性を残していたであろうことを考えれば、一時の功名に走って日本の命脈を丁半博打に賭けた博徒としての山本像しか浮かんでこないのだが・・・。それに死に場所を求めての南方視察なら一式陸攻の搭乗員は自死に付き合わされたということなのだろうか?確かに、あの様な戦争は誰も望んでいなかった、それに反対していた「海軍」というエリート集団の代表をヒーローとして持ってきたいという旧海軍軍人の気持ちは分からなくもないが、虚像を理想化し続けることは進歩にはつながるまい。
山本を美化しすぎ
 山本は、米内光政を連合艦隊司令長官にして、自分が第一艦隊司令長官に退くことを画策する。阿川氏はこのことを、「戦争回避のための必死の努力の現れ」だと解釈しているが、私はそうは思わない。連合艦隊司令長官は現場の長なのであって、政治的発言(日米開戦についての)はできない。私は、「連合艦隊の戦力では、アメリカとは戦えません」という発言を、米内に言わせるために、山本が画策したのだと思う。つまり山本は、日米開戦反対という考えを持ってはいても、井上などと比べると、かなり弱腰であったのだ。
 また、戦艦なんか無用というのは、とんでもない誤解である。アメリカは真珠湾攻撃の後も、戦艦を結構作っている。確かに戦艦は空からの攻撃には弱いが、それは護衛の戦闘機をつけることで解決する。戦闘機で護衛されながら敵陣に突っ込んでいくならば、戦艦は結構な戦力になるのだ。沖縄戦では、アメリカの戦艦部隊の艦砲射撃で、日本軍は壊滅的な打撃を受けた。それなのに山本といったら、大和・武蔵・霧島・長門・榛名を戦力として活用せず、航空機一辺倒だった。そして・・・・・日本の航空戦力はガタガタとなり、日本は・・・・・
 やはり、山本が優秀だったのは航空本部長・海軍次官の時までであり、それ以降は凡将中の凡将だったと言わざるを得ない。いかに政治家・官僚として優秀であっても、航空機に着目した先見性があっても、連合艦隊を壊滅させた責任は大きい。
生き急ぎ、死に急いだのではないか?
 上巻のレビューに永野〜山本〜井上の帝国海軍良識派の関係を押さえながら読むべきだと書かせていただいた。又、アメリカに行ってこの国と戦ってはならないと決意しながら、真珠湾攻撃を決行しなければならなかった苦悩についても触れた。
 下巻は、主として山本の死に至るまでの流れを描いている。
 ドーリトルの本土初空襲、燃料弾薬の不足の問題から、早期の和平の実現のために早期にアメリカU決定的な打撃を与えなければならないという発想でのミッドウエーは、やはり、無理な作戦であったといわざるをえない。
 その失敗から、山本は、どこかで死地を探していたのではないかと思う。「戦艦大和ホテル」と揶揄され、巨砲を持ちながら速度が遅いため、空母に同行できないでトラック島で冷房完備の浮かぶホテルになっていた旗艦大和を離れてラバウルに行き、更に全戦に行くというのは、作戦全体を把握しているべき連合艦隊司令長官としては、やはり無謀な行動であったと思われる。
 何が彼をそうさせたのか?
 結局は、アメリカとの開戦を止められず、開戦した以上、早期に徹底的ダメージを与えて、戦意を喪失させ、講和に持ち込むという考えを達成できなかったことへの「責任」を取ったのではなかろうか?
 敢えて、言うなら、そうした戦略全体を、現場の連合艦隊司令長官に考えさせなければいられなくさせた、日本の大本営をはじめとする最高指導部に、山本五十六は、失望し、疲れたのではなかろうか?
 惜しい人を亡くしたものである。
死地に赴く
下巻は山本五十六が、自分が死なせてしまった多数の部下のことを悔やみながらそして自分もどこかで死地を探していたのではないかと思わせる内容である。
大戦末期の山本の苦渋が伝わる内容である。
無念であったのか本望であったのかそれはよくわからないが・・・
五十毒はすごい人だ
パリに赴くくだりで、思わず目頭を押さえた。大人の山本とや
んちゃな軍令部。そういう表現が適切かもしれない。暗い話だとは思うが、今人生に
つまづきを覚えている人に是非読んでもらいたい。