近代能楽集 (新潮文庫)

- 新潮社 価格 ¥ 460
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近代能楽集 (新潮文庫)


新潮社

価格(new/used): 460 円 / 1 円 より
発売日: (1968-03) アマゾン売上ランキング: 14556 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 8件

三島由紀夫の才能
僕は日本文学界の中で三島由紀夫さんを一番尊敬しており、一番才能がある方だと思っています。
この近代能楽集はまさにその三島由紀夫の互いまれな才能がいかんなく発揮された作品だと思います。
僕が特に目を引いた作品が「葵上」です。
僕はこの作品を初めて読んだとき、この「葵上」の世界の中に引きずり込まれたことを覚えています。葵上の作品の流れとして、現実から非現実の世界になり、そしてまた現実に戻るという時の流れが入っています。途中、時の流れが「戻る」というのは小説の世界ならまだしも、戯曲すなわち舞台化するにあたって非常に表現するのが難しいと思います。これを「戯曲」として書いた三島由紀夫は天才であり、奇才だと思います。この葵上の物語の途中に、六条康子は黒の手袋をはずすのだがこのことが最後の最後になって、重要な意味を成す。相変わらず三島の作品というのは、伏線を張るのがうまい。というか憎たらしい。こんなこと、ストーリーに関係があるのだろうかと思う箇所が大事な意味を持っているという小説及び戯曲が三島由紀夫の作品には多いような気がします。
この「葵上」という作品からは、三島由紀夫の美的センス、そしてなにより三島のプライドの高さを感じてしまうのは僕だけでしょうか。
これほど計算されていて、なおかつその中に「非現実」の世界まで盛り込みながら、ちゃんと現実性を感じる戯曲は他にはなかなか見当たらないと思います。
この「近代能楽集」は三島由紀夫の才能のすごさを再確認させてくれる作品だと思います。
望みがかなうことが怖ろしい
中山可穂『弱法師』を読んだ後、「卒塔婆小町」「弱法師」を読み比べようと思い手に取った。
もともと、こういう台本形式のものは苦手なのだが、意外に読みやすかった。知っている物語が多かったせいもあろう。
能には明るくない私であっても筋は知っているような古典が多い。筋は、三島も中山も大きく変えているところもあるから、そこを読み比べるのが面白い。
肉体の関係への嫌悪や肉体の変化への苦痛が繰り返されるところに、作者の苦悩を感じた。
舞台で見ることができたら、さぞ美しい一夜の夢となることだろう。
三島文学のエッセンス
 三島由紀夫の作品は過去に何冊も読んだが、この作品が一番面白く、今回久しぶりに読み返えしてみて、また新たな感動が沸いてきた。
 シュールな戯曲で、人生の機微や男女の心理を、三島由紀夫独特の冷淡でシニカルなせりふの中に描写している。
 能楽という手法で、時間と空間を凝縮し、一編の作品のなかに中篇の一小説分のエッセンスが詰まっている。また、どの作品も結末が鮮やかでしばらく余韻が残るが、後味は悪くない。
 何度も読みたい本なんて、そうざらにない。お勧めです。
高校の演劇
 高校時代の校内行事に演劇コンクールがあった。学年8クラスを4チームにわけて 4ヶ月程度稽古をした上で コンクールで出来映えを競うものである。「青春時代」だけに 演劇だけでは終わらず 恋愛やら人生論やら 青臭いもので満ち満ちてしまうのはしょうがない。高校の夏休みは そんなもので費えてしまうのが 23年前の日々だった。

 そんなコンクールで取り上げられたのが 本作の「邯鄲」であり それを見ていて 三島の演劇に興味を感じ 本作を手にとった。

 基本的には各作品ともに一時間程度の一幕ものであり 切れ味のよさは抜群である。題材を能にとりながら 上手に現代に翻案する手際は際立っており 題材のテーマと (当時の)現代の精神の融合には舌を巻く。三島は演劇に その才能が最大に見られると聞いたことがあるが なるほどと思わせるものがある。

 1980年代初頭の高校生には ちょっと難しかったはずである。40歳になった小生は 今はそう思う。但し あの頃はそうは思わなかった。難しいことに 分かった顔をして立ち向かうのも 青春時代の特権である。

こんなにおもしろいなんて。
すぐに読めてしまいました。一度読み始めると、話が終わるまでやめられませんでした。三島は、うまい!