![]() |
山椒大夫・高瀬舟 新潮文庫 |
| - 新潮社 価格 ¥ 500 | |
| home|書籍|CD|DVD|ゲーム|ソフトウェア|家電|キッチン|おもちゃ・趣味 |
![]() |
山椒大夫・高瀬舟 新潮文庫新潮社 価格(new/used): 500 円 / 1 円 より 発売日: (1968-05) アマゾン売上ランキング: 14784 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 14件 「人のありよう」を問いかけてくる一篇人が共に生きていくためには共通のルールに従って生きていく必要がある。 共通のルールに従えない者は、法に則って裁かれることになる。 神の力を持ってるはずもない、しょせん有限の能力しか持ち得ない人が作り上げた法によって、 同類である人を杓子定規に裁くことの限界を本作は描いているのだと思う。 ルールを無視するわけにはいかないが、しかし、そのルールに従うことに納得のいかない点がある時どうすればいいのか? 人が人らしく生きるということは、いったいどういうことなのか? 人の在るべき姿を定義するのに、同類である人が作ったルールに従うことだけが本当に正しいことなのか? 我々、人では量り知れないもっと高次の解答があるのではないか? さまざまな葛藤を引き起こされ、単純に答えを導けないことに気づかされる。 そして、「人のありよう」について、死ぬまで一生考えていかなければならないということに気づかされる。 おもしろい幾つかの短編からなる。 私のお気に入りは「妄想」と表題の「山椒大夫」「高瀬舟」。「二人の友」もいいんだよなー。 「妄想」は、自身を回顧した作品。「宴会嫌いで世に謂う道楽とうものがな」い自分。そして、数千巻持っていた雑誌を学校に寄付する。「多くの師には逢ったが、一人の主には逢わなかったのである。」 かっこいいー。 「山椒大夫」は、父親を追って、旅に出た母子たちが、人買いによってさらわれてしまう。弟厨子王を助けるために姉安寿がとった行動。(個人的には鈴木杏樹を想像してしまった(笑))そして、結末は・・・ 感動名作です。 「高瀬舟」は、罪人を護送する舟。この舟に乗っている弟殺しの罪人喜助の顔がなぜか晴れやかで楽しそう。疑問に思った同心羽田庄兵衛が問い詰めると・・・ 安楽死についての作品であるが、しみじみと淡々と書かれているのが印象的。 表題の2作品だけでも、読む価値が十分にある。 妄想というリアル森鴎外の短編十一作品を収録。まだ全作品読了していませんが、読了中のうち特に『妄想』に感銘を受けたのでレビューします。 『妄想』は、タイトルによる先入観とは裏腹に、鴎外の本心と、云われも無い現実のニヒリズムが感ぜられます。鴎外というと非常に冷徹な人だと誤解をしていましたが、本作中で、独逸留学中の鴎外の苦悩の裡に、家族を想う気持ちが伝わってき、知で固められた鋼鉄な表皮の奥には温かな俗情を保持しているということが分かりました。日の要求に駆られ、演技者として彼方此方から糸で引っ張られるように生きていくことに、私も虚無を覚えるタイプで、どうしても物事を闇雲に考えてしまいます。どうすれば人と同じようにもっとすんなり生きていけるかなあ、といつも悩みます(これと同じ問題は『カズイスチカ』で花房が見る父の翁の描写でも書かれていますね)。鴎外は哲学、特にハルトマンやショーペンハウエルの影響を受け、死に憧れもせず、死を恐れもせず、人生を下っていくというニヒリズムに到りますが、これも非常に今の私の心境と重なるところがあり共感しました。 『普請中』も、渡辺参事官と元恋人の高級ホテルでの再会のエレガントな香りと、それに相反する大工の描写、そして「日本はまだ普請中だ」という日本に対する皮肉感が凄く良かったです。『百物語』も、「生れながらの傍観者」として、「子供に交じって遊んだ初から大人になって社交場尊卑種々の集会に出て行くようになった後まで、どんなに感興の沸き立った時も、僕はその渦巻に身を投じて、心から楽しんだことがない。」という自分と、恐らく「今紀文」となり富裕になった後で「傍観者」となった飾磨屋を照応させる辺りに、深い陰影を帯びたニヒリズムというか、中野重治のいうところの、「悲しい必然」で文学へ行った人である鴎外の人となりが痛々しく理解出来ます。『高瀬舟』ばかりが有名ですが、もちろん『高瀬舟』も素晴らしいけれど、それ以上に心に染み入る作品を多く鴎外が書いているということを、本書を読むことで痛感しました。三島由紀夫が「鴎外の味」という言葉を残しているらしいですが、何だか凄く分かる気がします。好きな作品は何回も読み直したいです。 軍医として、作家として、生きるということを問う『山椒大夫・高瀬舟』です。森鴎外の短編集です。比較的晩年の作品が多く収録されています。かなりテーマが深く、難しい作品が多いのは否定しません。 最初はとっつきにくかったですけど、読み始めるとかなり引き込まれました。 杯 普請中 カズイスチカ 妄想 百物語 興津弥五右衛門の遺書 護持院原の敵討 山椒大夫 二人の友 最後の一句 高瀬舟 バラエティーに富んだ作品が入っています。高瀬舟や山椒大夫は鴎外の代表作ともいうべきものですし、興津弥五右衛門の遺書や護持院原の敵討は歴史物、二人の友は自伝的です。 読みにくい興津弥五右衛門の遺書あたりは後回しにして、比較的読みやすい山椒大夫や高瀬舟を先に読んでもいいと思います。 鴎外は軍医であり作家であり、人物として極めてユニークでしたし、作品もまた多彩です。 最近では鴎外の作品が国語の教科書に載らなくなったとか云々という話も聞きますが、ぜひ中高生に読んでいただきたいです。……中高生が読むにはかなり難解ではありますけど。 現代小説の祖が鴎外だということが、よくわかりますこの短編集、面白いです。 鴎外が50代を超えた大正時代に書かれているのですが、 文体、テーマ、倫理観等、現代小説と何ら変わりません。 特に簡潔な文体の力強さは驚きます。 藤沢周平や松本清張等を連想しました。 志賀直哉や谷崎のようなだらだらした小説、随筆とは全く異なる世界が広がります。 鴎外は現代小説の始祖と言われますが、 この短編集でその意味がよくわかります。 安楽死を扱った「高瀬舟」、社会問題を描いたとも言える「山椒大夫」など、わかり易い傑作です。 |