飛ぶ夢をしばらく見ない (新潮文庫)

- 新潮社 価格 ¥ 460
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飛ぶ夢をしばらく見ない (新潮文庫)


新潮社

価格(new/used): 460 円 / 1 円 より
発売日: (1988-11) アマゾン売上ランキング: 259637 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 8件

忘れがたい印象
これだけ荒唐無稽な話が好きだ。
本書の主人公田浦は中年という人生の折り返し地点にたって、はじめて本当に愛すべき女性に出会う。
この女性が不思議な存在だ。病院の衝立越しに出会ったこの女性はどんどん若返っていくのである。
それは文字通りの若返りであって、身体的な退行現象なのだ。彼女はどんどん若くなる。
どんどん若くなって子どもになっていく。
物語の設定は目新しくない。しかし本書が一読忘れがたいのは、展開に目を瞠るものがあるからだ。山田太一のおもしろいところは、俗な部分を美化せず描くとこにある。人間の生理的な欲求や、本能をそのまま作品に反映させているところが素晴らしい。
本書ではお互い激しく求め合う二人が描かれるわけだが、女性の方は若返っていくわけである。しかし男はそこで怯まない。彼は若返って自分の娘ほどの年になった女性と身体を重ねるのである。これは傍目から見れば完全にロリコンだ。しかし、冷静な目で見れない読者にとっては、完全にファンタジー世界の出来事として受け入れられてしまう。もしかしたら、これは男性側だけの意見かもしれない。ラストもそのせつなさに思わず涙が出そうになったくらいなのだが、これも男性だからそう思うのかもしれない。
とにかく、ぼくにとってこの作品は「異人たちとの夏」と並んで忘れがたい印象をもっている。いまは絶版なのかなー。

 すごい設定って言うか、すごい話の展開。
 好きな女性が若返ってく話なんだけど、そんなファンタジー設定なのに、起きていることはリアルすぎて、切ない話のはずなのに、そんな展開にぶっ飛ぶ。
 確かに主人公は傍から見ればロリにしか見えないよなwww
設定がすごいですよね。
時間に逆行する女性、睦子。48歳の田浦は日常を捨て、彼女との世界に生きようとする。
どんどん幼くなっていく睦子に対し、あくまでも性愛を貫いていく田浦の気持ちは、女性である私にはよく理解できないものがあった。それでも、4歳になってしまって、彼の前に姿を現した睦子の悲しみは、涙を誘うものがあった。
山田太一氏というと、「家族」をテーマに温かいものを描く脚本家と思っていたが、この小説はむしろ、家族の中で疎外感を味わう中年男性の悲哀を描いていて、たくましく生きていく田浦の妻の姿に、現代の女性の強さを見た。
タイトルと、中身の関係がいまひとつわからないのは、私の読み込み不足?
設定の斬新さと心のありよう
異人たちとの夏に並ぶ、究極の別れを描いた作品だと思います。人間の理性と感性の極限状態を、まるで現実にその出来事が起きたように描ける筆者の才能に、いつも驚いています。時間に逆行して生きる相手にいったい何ができるのか、どうしてあげればいいのか、何と声をかければいいのか、思いが湧きあがります。設定の斬新さと、心のありようを主題にした作品は、東野圭吾の「パラレル・ワールド・ラブ・ストーリー」「秘密」などに引き継がれていますが、筆者の次なる小説を、切に待望しています。
切ないラストシーン。
 ラストシーンが切ない。でもこうするしかないと思う。
 人間の哀しさ、切なさ、美しさなどがこの物語の中に、ギュッと凝縮されているような気がした。