が、彼の写真を見るとまったく別のものに見えてくるから不思議だ。
その理由は、表紙の写真にも表れている様に、彼独自の表現方法を駆使して写真を撮っているからだ。仁王像のここまでの猛々しさを、この写真を見ることなしに私は掴み取ることはなかっただろう。
阿弥陀如来の指先に現れるたおやかさ。
時代を感じさせる木の割れ目。
既存のものをここまで自分の表したい形に表せるなんて、きっと土門拳だからこそ出来る技なのだろう。
土門の写真には実直さがあり、また、仏像・建物の事を良く知って撮っているという印象だ。仏像写真でよく知られる土門拳だからこそ、寺関係者を排除して"こっそり"撮れた(彼以外は絶対撮れない)写真も多く存在するのだ。対象物も国宝・国宝級、撮影者も最高、この作品集がなんとポケットサイズでこの値段という点で、私は迷わず★5つをつけた。
いつでも好きな時、好きな場所で、これらの国宝(作品)を味わう事が出来るのだから。