逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵...

井沢 元彦 - 小学館 価格 ¥ 690
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逆説の日本史(11)戦国乱世編 朝鮮出兵と秀吉の謎 (小学館文庫 い 1-18)

井沢 元彦
小学館

価格(new/used): 690 円 / 282 円 より
発売日: (2007-06-06) アマゾン売上ランキング: 6333 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 4件

文禄慶長の役に対する無知
シリーズ11巻は秀吉にフォーカスされます。この人は太閤記を通じ、日本で最も立身出世を成し遂げた人として有名であり、「これ以上何か新しい事実なんてそんなに無いだろう」と思っていましたが、これが大きな間違いでした。

そもそも秀吉に6本の指があったと言う事実が、なぜここまで知られていなかったんでしょうか?羽柴秀吉と言う名前にも、これだけの裏の意味があったとは、予想も出来ませんでした。

最も驚いたのが、文禄慶長の役に対する見方です。これを日本と朝鮮の当事者同士と言う枠組みで見ていたら、いつまで経っても真実は見えてこない、と言う事を説明されるまで疑問にも思いませんでした。

こういう目鱗を、秀吉と言う日本人にとってポピュラーな人に対しても出来てしまうところが、著者のスゴいところだと感じました。
気宇壮大な唐入りの謎
"怨霊史観"に基づき、歴史の通説に対する鋭い「逆説」を放つ本シリーズも、いわゆる一級史料が多く現存する鎌倉時代あたりから、読者を驚かせる程の「逆説」の輝きが感じられず、苦しい印象が強かった。まして、本作のテーマは豊臣秀吉である。通説以上の論が出るとは正直期待していなかった。そして、朝鮮出兵(唐入り)までは、その通りとなった。著者が新説と力説する論は、本能寺の変以降の秀吉の権謀術策、大仏建立の謎、有名な太閤検地の意義など個人的な見解を越えるものでは無かった。

そして、5章の朝鮮出兵である。これは通説でも、私の見解でも、西郷隆盛の征韓論と同じく武士の不満を抑えるため(平和になると武士の出番が無くなる)と解釈していた。一部の秀吉の耄碌説は私も信じていなかった。しかし、著者の気宇壮大な主張が正しいとなると、同時に秀吉(信長)の東アジア経営の雄大な構想が明らかとなって興味深い。著者はこの立証のため、当時の朝鮮半島の状況は勿論、現在の東アジア情勢も交え、綿密に考証して行く。全500頁のうち、約150頁をこの朝鮮出兵論に割いている程である。この5章だけでも読む価値があると思う。

シリーズの中でも、歴史を点ではなく線で捉える事の重要性を感じさせる一作。
ヒデヨシの謎に迫る良書
当たり前だと思っていたことですが、よくよく考えてみると秀吉時代は謎が多い時代です。

なぜ秀吉は織田家の家臣だったのに織田家の人間を差し置いて天下人になれたのか?
なぜ豊臣性に名前を変えたのか?
秀吉は大坂で政治を行ったが、なぜ大坂時代が無いのか?
なぜ秀吉は刀狩に成功したのか?
なぜ秀吉は海外派兵を行ったのか?
なぜ朝鮮「征伐」なのか?

これらの疑問に次々と快刀乱麻を断ちます。
次々に解説がなされていて、どれもすごく論理的です。

まるで推理小説を読んでいるかの様な爽快感があります。
天下人の光と影
本書が扱うのは信長の死から「朝鮮征伐」の終結に至るまでの時代の主人公である秀吉の出自から天下人に上り詰めるまでの悪人、いや天才ぶり、そして天下人としての内政・外交である。いつもながら、本書で初めて知る事実、視点の斬新さ、史実の真否の判断・推論の鮮やかさ(特に信長・秀吉・家康をセットにした流れの中で考える手法)には感嘆する。500頁を越す内容だが一気に読める。

まず、秀吉の右手の指は6本だった、という導入部から引き込まれる。改姓の繰り返しに込められた意図の推理は読んでのお楽しみ。一番面白かったのは、いくら主君の仇討ちをしたとは言え、主君の家の臣下に過ぎない秀吉が、第二の光秀にならないように権力を奪取していくプロセスの解析で、秀吉は凄いアイデアを続々繰り出す。秀吉が一番冴えていたのはこの時期ではなかろうか。

最後1/3はセンシティブな「朝鮮征伐」にあてられているが、日韓双方の歴史認識の問題点に触れつつ、歴史の真相に肉薄し、当時の日韓双方の問題点、特に日本については昭和の戦争にも共通する欠点を指摘する。ここでも公平な視点で埋もれた史実を発掘し、教訓を汲み取ろうとする著者の姿勢にぶれはない。是非一読を薦める。


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