ラヴァーズ・キス (小学館文庫)

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ラヴァーズ・キス (小学館文庫)


小学館

価格(new/used): 630 円 / 1 円 より
発売日: (1999-08) アマゾン売上ランキング: 12203 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 13件

登場人物それぞれの「それでも好きやねん」
 鎌倉の高校と海を舞台に、人が人を好きになるどうしようもない気持ちを描いた漫画。前の話のある場面が、別の話では、別の人間の視点で再登場したりするという、話と話がつながっているんだけれど見るアングルが変化している、そういう面白味もあります。
 ちょっと前に読んで、「雨あがる、てな、素敵な味わいがいいなあ」と好きになった漫画、同じ作者の『海街diary1 蝉時雨のやむ頃』とつながっているところもありますね。鎌倉の町もさることながら、登場人物や話の雰囲気という点で。
 文庫サイズのこの漫画を読みながら、時々どうしようもなく、こみ上げてくるものがありました。人が人を好きになるかけがえのなさと、その気持ちをどうすることもできない切なさ。登場人物それぞれの「好き」の気持ちが交錯するところは、「ありえねぇー」て感じで、くすりとさせられちゃうとこもありましたけれど・・・。
 クラシック音楽風のタイトルをつけるとしたら、『「それでも好きやねん」の主題と変奏 北鎌倉高校篇』かな(笑) 話の中に出てきたベートーヴェンの『ピアノ・ソナタ第17番 テンペスト』の曲を聴いてみたくなりました。
 1995年から1996年にかけて、「別冊少女コミック」に掲載された作品。予想していたよりも、ずっと素敵な味わいの漫画でしたね。これ、いいですね。
最も好きな漫画作品(かも)

 実に実験的な試みの本作。それは十二分に成功していると思う。

 単純に言うなら、一つのストーリーを一話ずつ別の人間の視点で語り直すという試み。
一つ一つの話は完結していながら、相互に、ある時間をおりなし、一人一人の「想い」が語られる。
そして物語全編の最後には「ある時間」は完成され(未完成な時間なのではあるが)
胸をつかれる美しさである。

「でもしかたがない、あのひとに出会ってしまった」

 複数のキャラクターが口にする台詞だ。
誰かを好きになるというのは本当にままならない物である。 
恋人たちそれぞれのキス
吉田氏の作品にしては比較的あっさり描かれているこの作品。どこにでもある、高校生の恋愛模様がテーマだ。
しかし、そのあっさりした作風によって、中核をなす朋章と里伽子の恋が浮き彫りになっている。また、それにおおいに貢献しているのが鷺沢の視線である(彼もまた、朋章に恋をしているので、こう言っては申し訳ないのだけれど…)。非常に鋭い審美眼を持つ彼の存在なしでは、この物語は読者に伝わらなかったものがあっただろう。

それにしても、朋章と里伽子が本当の「恋」へと発展していく過程・セリフはなんとも印象的で美しい。昨今、巷に溢れている恋愛モノの少女漫画のような陳腐なものが一切見られないのだ。
「あたしは人の顔色うかがってばっかり 自分がいやでいやでたまらない…」
「…でもそういうこと 男じゃ埋められないだろ(中略)おまえが自分で決着つけなきゃならないことなんだ。どんなにつらくても」里伽子を後ろから抱き締める朋章。「でもこうしているとどんどんぬくもってくるだろ」――。

全編にわたって様々な登場人物の思いが交錯していながら、いわゆる「荒々しさ」がない。皆がそれぞれに胸の内に想いを秘め、恋は進んで、あるいは終わっていく。
読んでいる内、某作家が著作の中で書いていた言葉を思い出した。――人を愛するのは、いつだって海の近くなのだ――

ちなみに、この作品は各章の扉絵もシンプルかつエロティックでセンスが溢れている。表紙の装丁も最高。
世代をこえて
うーん、吉田秋生、いいなぁ。
この人は、舞台を高校生に充てているけど、決して学園物と言うだけではない。何と言うか、大人の人生にずっしり響くメッセージがある。一方で、学園物としてのすがすがしさ、甘酸っぱさがあり、それがまたすぐこの前までそういう時代だった若い人にも、また、遥か昔の自分を思い浮かべるシニア層にも、染み入る思いが素敵だ。
漫画だ、なんて偏見せず、是非ともお手にとって読まれたし。特に、結構としいったおじさんおばさん達。きっと、自分の娘や息子の心のヒダと、自分の若い自分の相違は、実はないんだよ、と言うことに気がつくきっかけになるのではないかしら。
舞台が鎌倉、湘南である点もとてもモードにマッチして良かったですね。
ただ、好み的にはちょっと恋愛の形態が。。。ま、それもまた面白さかな、デモちょっと僕はそこは距離を置きたい。同性の愛と言うほど深くはなく、よくありがちの年上の先輩への思慕、何だろうけど、な。
汐の香りのする青春物語。
この作品を読んで、また江ノ電に乗りたくなりました。
登場人物がそれぞれバトンタッチして描く恋は、それぞれが切なさを
抱えいて、重なり合えない。
高校の時、クラスメイトはあんなに居たのに、みんなそれぞれ何を思ってどこを向いていたのだろう。
あの時、言いかけていた言葉はなんだったんだろう。

そんな自分の青春時代をふと振り返りたくなるような一冊。

でも、同性愛者ってそんな頻度で居るの?と漫画っぽい設定には少し興醒めしてマイナス。