セクシーボイスアンドロボ 2 (2) (...

- 小学館 価格 ¥ 980
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セクシーボイスアンドロボ 2 (2) (BIC COMICS IKKI)


小学館

価格(new/used): 980 円 / 128 円 より
発売日: (2003-02) アマゾン売上ランキング: -- 位
コミック / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 15件

それでも前へ進むニコ!!
「今救えるのは、宇宙で私だけ」と駆け出していたの1巻のニコ。彼女に転機が訪れる。彼女の活躍によりしくじった殺し屋・「三日坊主」が、依頼者に始末されたのだ。それを知ったニコは、自分のいる場所を初めて悟る。彼女の言葉を借りればすなわち、「地獄」。・・・屋上らしき所のフェンスをぎりぎりと握りしめる。軽やかに駆けていた二本の足は、地面を固く踏みしめる。怒りに震え、動けなくなる。
それでもなお、前に進むことを決めたニコ。彼女を後押ししたある老女の言葉、「意志でなく、才能が行く道を選ぶ。そういうことがあると思うのよ」 こんな言葉に感応する14歳の強さに、グッとくる。

本作が中断したような形になっているのはつくづく惜しい。
神がかり的構図能力
決して上手いのかは怪しい絵だが、確実にその構図能力は格段に漫画家のなかでは圧倒的なまでにずば抜けている。
この絵の構図能力に匹敵する作家は、わたしの独断だが、佐々木倫子か魚喃キリコぐらいかと思う。
物語自身も、漫画オタク・映画オタクから一般読者をも守備範囲とする、芸術性とエンターテイメント性を兼ね備えた、稀有な作家である。
単なるサブカル的なカルト作家なのかもしれないが、決してそれに甘んじるような作家の力量で無いような気がする。
ほんとに爆発的な大ヒットを飛ばす(200万部ぐらいね)作家になりえる力量があると思う。

新作を出さなくなって久しいが、必ず必ずや素晴らしい作品を見せてくれるだろうと期待してやまない作家である。
硫黄ナイフで切り刻まれろ!
ポップな絵とスタイリッシュな台詞回しに油断しているといきなりのど元に鋭いナイフを突きつけてくる。黒田硫黄はそんな作品を描く。
「セクシー〜」は主人公のニコの成長の物語だ。「おじいさん」に与えられた仕事をお気楽にこなしていくニコは「羊羹」に自分の甘さを(一巻voice5)、「三日坊主」の死によって現実の残酷さを思い知ることになる(二巻voice9)。それでもニコは前に進む決意をする。「私がしたいのはね、この世界にちょっとしたドリームを与えるような…そういうことなんだ。」
そして物語は新たなフェーズに入ったところで終わる。
機会があれば是非続きを描いてほしい。
心理カウンセラーの臨床記録?!
第1巻のレビューではこの本の価値が、現代社会のコミュニケーション不全を活写し、解決への方向性を示したことにあるというようなことを書いた。

その意味では、第2巻の第1話のエピソードが秀逸。ニコとロボが美容院にいるとき、警察に追われた銀行強盗が飛び込む。ニコは駆け出しの美容師(ニコの片思いの相手)と共に、犯人と対話し、自ら警察に出頭させる。

対話によって相手の問題が見えるようにし、さらに、解決方法を(おとなしく逮捕されるしかないだろ!)を自ら選び取るようにしていくやりとりは、神経科の医者かカウンセラーの臨床記録を読むようだ。大平健氏の一連の著作を彷彿とさせる。相変わらずロボはとぼけた受け答えをして、それが会話にワサビを添えるというか、コミュニケーションの「悪い見本」になっているのも一興。

サマセット・モームは一時スパイを職として、その時の人間観察が小説を書くときに役に立った、と司馬遼太郎氏が書いている。スパイというのは人間を観察し、その人を利用する達人のことなのだろう。

なんだろう。
スパイに憧れる女の子の日常に大小を問わず様々な事件が起き、それを彼女が七色の声を用いて解決していくという非日常的なストーリーなのだが、そのような感じを抱かせない。それは恐らく作者の視点が過度に丁寧に日常を捉えることなく、しかしながら当たり前の平凡な日々を大切にしているからだろう。読後感はなんとも良い。