楊令伝 五 猩紅の章

- 集英社 価格 ¥ 1,680
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楊令伝 五 猩紅の章


集英社

価格(new/used): 1,680 円 / 949 円 より
発売日: (2008-04-25) アマゾン売上ランキング: 34318 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

北方先生そこは触れないで
南の方臘の宗教動乱、北の燕雲十六州をめぐる戦い。
宋が抱える南北の動乱がこの巻で決着します。

それにしても呉用。
キャラクターが変わりましたね。
あるいはこちらが本質だったのかもしれません。
最も信仰心からは遠そうな知性派の呉用でさえ変質させるのが、宗教の怖いところかもしれませんが。
水滸伝時代から武闘派の皆さんからは嫌われ嫌われ、読者としても呉用がやり込められる場面は結構胸のすく想いがしたりしたものです。(現場と管理部門の対立として考えると面白かった。)
李逵に板斧を喉元に突きつけられる場面なんかは、李逵に拍手を送りたくなったものです。
実は呉用をそんなに嫌いじゃないことに楊令伝に入ってから気が付きました。
キャラクターが変わったから嫌な感じが薄れたのか、もしかしたら自ら困難な現場に飛び込んでいったから好意を持ったのかは分かりませんが。

さあ、南北の動乱が片付いていよいよ次世代梁山泊と宋禁軍の全面戦争かと思っていたら、最後で、扈三娘へのどす黒い情欲を満たすための聞煥章のたくらみ。
王英の忘れ形見二人を利用する流れになりそうです。
私は聞煥章のことが割と好きなんですよ。満たされない想いに悶々としている悪役って好感が持てるじゃないですか。

そこは触らないでいて欲しかったなあ。
そこに触れると水滸伝以来全編に、(希代のヒットマン史文恭を描く場面でさえ)流れている爽快感がなくなってしまいます...。
「どす黒さもまた人間性だよ」と北方先生はおっしゃるのでしょうが。
戦いの対比
宋の屋台骨に打撃を与え、崩壊の速度をはやめたという南方の方臘の乱。
燕雲十六州の奪還を夢見た結果、外交に節操のなさを露呈して宋国自体の存続を危うくした北方の攻防。

本物語では、方臘の乱は、これでもかという程の人海戦術。
対して燕雲十六州の攻防では、軍同士のせめぎあいから、政治の介入による決着。
この両者の戦いの対比が非常におもしろいです。

一気に読めました。一冊にまとめてしまうのは惜しいっと思いました。
南北の乱が共振するとき、漢たちの想いが弾ける‥。
北の燕雲十六州、南の方臘、南北に勢力を分断された禁軍がそれぞれの鎮圧に手間取るなか、着実に
勢力を養ってきた梁山泊がついに動き出した。
推戴された耶律淳を失った燕国の崩壊から方臘の乱の収束までを、主に禁軍の側から描きながら、
燕の将軍、耶律大石と蕭珪材を描き、南の方臘を描く。
 そして最も重要な梁山泊の流れも切らさない。
 見事な視点の転換と登場人物の描き分けといえるだろう。
 特に、熱のこもった戦闘シーンは、水滸伝の最終巻を彷彿とさせる。
 この第五巻は、このシリーズの白眉となるような気がする。
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