鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)

- 集英社 価格 ¥ 1,300
home書籍CDDVDゲームソフトウェア家電キッチンおもちゃ・趣味
鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)


集英社

価格(new/used): 1,300 円 / 748 円 より
発売日: (2004-04) アマゾン売上ランキング: 196032 位
文庫 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

〈タイムトラベル〉ものにして音楽SF
現代の女性ジャズピアニストが、1944年のベルリンに
タイムスリップする〈タイムトラベル〉ものにして、音楽SF。


戦局の悪化に伴い、オカルティズムに傾斜していくナチスドイツと
神霊音楽協会が企てる一大謀略に、主人公と当時渡欧していた
彼女の祖母(天才ピアニスト)が否応なく巻き込まれていきます。


オルフェイスの音階、宇宙オルガン、フィボナッチ音律、
   ピュタゴラスの天体、ロンギヌスの石……。


伝奇的な意匠が、これでもかというほど散りばめられ、
全宇宙規模の壮大なSF的奇想が繰り広げられます。


しかし、そうした宇宙の神秘や真理といった形而上的なるものを
主人公はあっさり受け流し、物語のなかを軽やかに駆け抜けていきます。


何ものにも囚われない自由な精神―。


それこそがジャズの信条、ということなのでしょう。
高密度高速おしゃべりファンタジー
岩波の 図書 2006/11号に青柳いづみこさんがこの作品について長文の賛辞を書いているのを見た.目下 Mosse の Labyrinth の後遺症に悩まされているので,飛びついた.まずイントロの急勾配に圧倒され,本論で勾配が急にゆるくなるのにめまいがし,しかしおしゃべりの速度と密度が一向に衰えないのに尊敬の念を覚えた.近頃こんなに力強い日本語のおしゃべりを読む経験はしたことがない.話の方も,1944年末の Berlin であるし,Orpheus 音階だの Lance of Longinus だの宇宙オルガンだの,魅力的アイテムがごった返している.さすが本物の作家だけあって構成力に不足はない.気が晴れる感じで,作者と青柳さんに御礼言上するしかないが,不思議なことに後遺症はそのままのこった.思うに 13世紀の大虐殺と聖杯の物語は,聖 Longinus の剣より強いらしいのだ.しかしこの手の壮烈なおしゃべりは大歓迎なことは言うまでもない. 
最後の最後に良かったと思えた本
 鳥類学者とは、ジャズのチャーリー・パーカー(渾名はバード)を指しているものと思われます。主人公のジャズ・ピアニストの語り口は、自分へのツッコミがあったりと、最初はやや取っ付きにくかったです。が、読み進めるにつれて、それがジャズに通ずるリズムを意識した文体として書かれたようで、だんだんとノッて来るんですよね。異次元に迷い込む際の曖昧な境界線が、細密な表現でとてもうまく表現されていると思います。タイムスリップしたベルリンで繰り広げられる騒動も、怪しげな交霊会や海軍士官との恋など盛り沢山。そして流転の末の大団円は、ジャズが好きな私にとって、もうお見事!と言うしかありません。最後に読み終えて、あ~面白かったと心底思いました。著者もジャズを愛好されているだけあり、数々のディテールにジャズに対する熱い思い入れがたっぷりと詰まった、一大ファンタジーです。