水滸伝 12 (12) 炳乎の章 (集...

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水滸伝 12 (12) 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55) (集英社文庫 き 3-55)


集英社

価格(new/used): 630 円 / 200 円 より
発売日: (2007-09-20) アマゾン売上ランキング: 12987 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 4件

闇塩の道の最大のピンチ!
盧俊義が青蓮寺の拷問に会うという闇塩の道の最大のピンチ。
リアルな拷問シーンの後に何とか救出されはしますが、今後のますますの波乱を予想させます。
その一方で、饅頭一個の借りをつくって去ってゆく関勝、朱富の店で酒を酌み交わし語り合う梁山泊の豪傑たちのシーンなど戦いに身を捧げる男たちのすがすがしさを感じさせる場面が続き、巻の最後ではついに関勝が梁山泊へ合流する希望に満ちた展開です。

冷めたオトコも熱くする。
北方さんと銀座のとあるバーでお会いしたとき、私はまだ5巻を読んでいるところでした。
「水滸伝のことで知りたいことがあったら、なんでも聞いてくれていいよ」
北方さんは気さくに話しかけてくださり、本にサインまで書いてくださいました。
私は、物語のことはもちろんですが、なぜあんなにもたくさんの作品が書けるのか、
その執筆量の多さについて質問しました。

あれから3ヵ月。文庫の最新12巻にようやく手が届いています。
読みすすめている間はその迫力に胸ぐらをつかまれ、物語の中にぐいぐいと引きずり
込まれている自分に何度もハッとしたものです。
多くの漢たちの成長に胸躍らされ、無念の死にこれでもかというほど傷つけられて
きました。

12巻は、その中でも大きすぎる漢の死を引きずりながら、静かにゆったりとスタート
します。

なぜあんなにもたくさんの作品が書けるのか、なぜ筆を休めようとしないのか。
そう質問したとき、北方さんはふっと笑ってアイラモルトのロックを流し込まれました。
今なら分かる気がします。北方さんも、梁山泊の漢たちと同じように戦っているのです。
死に安らぐために、生をこれでもかというほど燃やし続けているのだと。
そして、戦いと戦いの合間にあのバーの扉を開け、昂ぶったものを冷ましているのですね。
自身の原稿だけでもすごい量だと思われるのに、20年来の友と語るそのバーテンダーの
近著『マティーニ・イズム』で「まえがき」を担当されている北方さんの人を想う熱い心は、
『水滸伝』に描かれる一人ひとりの漢たちにも宿り、その死を救うのだと思います。

作家も物語の登場人物も、命がけで荒野を駆け続けるその様は、冷めたオトコも熱くする!
晁蓋の死に。。。
 本書、炳乎の章は、いよいよ折り返し地点を越えて物語も佳境に入って来た北方水滸伝の十二巻になります。
 物語は前巻の衝撃のラスト、梁山泊の首領の一人の晁蓋が毒矢で暗殺された直後から始まります。今後の梁山泊のあり方、官軍といつ全面戦争に突入するのかで意見がまっぷたつに割れていた宋江と晁蓋でしたが、よもやの志半ばでの晁蓋の死に、もう一人の首領の宋江も激しく落ち込み、梁山泊の主要人物たちも悲しみにくれます。とはいえ、戦時下のこと、彼らの誰一人としてそれを表に出す事はないのですが、それが故に余計に彼らの悲しみ苦しみが伝わって来ます。 
 戦争をしているのだから、いくら主人公側の人間だからといって死なないわけはなく、今迄も石勇を始めたくさんの人物が死んでいきましたが、やはりトップの晁蓋の死は読んでいる側にも大きな衝撃でした。物語もその悲しみの淵から始まります。そして、そこにおいうちをかけるように、梁山泊の資金的な生命線である塩の道を一人で動かしていた盧俊義にも朝廷の諜報機関の青蓮寺の魔手が迫ります。
 間の悪い事にボディガードである燕青が彼から離れている時に、彼は連れ去られ拷問にかけられます。口を割らず死ぬこともままならない盧俊義を救う為に、燕青は決死の救出行を敢行し、梁山泊も初めての全面戦争に突入、副首都といってもいい大名府を一時的に陥落させます。いよいよ、単なる一地方の反乱分子、厄介な反政府集団から、大都市に真っ向から戦闘をしかける一大勢力と化した梁山泊と宋の闘いは激しく、また双方に甚大な被害を与える大争乱の様相を呈して来ます。
 最初の頃のように、人を集めていく、集まっていくところに楽しさもあった水滸伝ですが、ここからはお互いの志と意地と国のありようを賭けての戦争がメインになってきます。そのあたりが血湧き肉踊るところでもあり、今迄の物語で思い入れをもった登場人物たちが次々と死んでいくことに胸が痛み読むのが苦しくなっていく点でもあります。 
 読んでいるときにふと、本当の戦争になると主要な人物でさえこうで、名もない一兵士なんて見せ場どころか意味も価値もなく死んでいくのだなと妙なところで考えたりした本書、待ちに待った甲斐ある面白さでした。シリーズを読み始めるまでは一ヶ月に一冊の刊行ならあまり続きを待たなくても大丈夫だろうとたかを括っていましたが、今では一ヶ月に一回でさえ待ち遠しすぎる状態になってきました。これ、ハードカバーの時に待っていた人は大変だっただろうなぁと思います。
大刀を振るう。
巨星を喪失し、喪失感漂う梁山泊に青蓮寺が襲いかかる。
この章では、梁山泊の生命線を司る男が
炙り出される。
魅力的な男の活躍で九死に一生を得るとともに
新たに大きな刀も得ることになる。

敵ながら天晴れ。
この物語にはそんな将軍が何人か現れる。
そして共通するのは、体制に不満をつのらせて
鬱屈していること。
呼延灼しかり。
そして、本章の関勝しかり。

喪失からの甦生が感じられる12巻。