日本文学盛衰史 (講談社文庫)

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日本文学盛衰史 (講談社文庫)


講談社

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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 5件

背筋が凍る?日本文学界のタブーに触れたか?
WHO IS K?

が最高でした。Kとは漱石の『こころ』において

自死するKです。

Kとは誰のことなのか?

夏目漱石、石川啄木、幸徳秋水、大逆事件、朝日新聞・・・・

これらのキーワードで展開される推理には

思わず背筋が凍ってしまいました。

これって、結構専門家の間では常識なんでしょうか?

夏目漱石は、お札に印刷されるほどの国民的な偉人ですから、

ある意味、高橋氏の推理はタブーに触れているのかもしれません。

一級品のこの推理をばらすようなことはしません。

是非、読んで見られることをおススメします!!
買いです。
近代日本文学史が日常生活の一部になっている仕事柄から、二葉亭四迷や自然主義という言葉がパロディとして出てくるだけで楽しくて仕方なかったです。ただ、分かち合える人が身近にいないのが残念ですが、人に言えない習慣、ですかね。個人的には鴎外が良かったです。又引きになりますが、金井美恵子だか河野多恵子だかが言った「内輪受け」(もちろん良い意味のつもりですが、良い意味にはなりえないのかもしれません)の極地という印象を持ちました。
究極のパロディ
最近はまっている高橋源一郎。
そんな彼の代表作と言っても過言ではない2002年伊藤整文学賞受賞作。

全編日本文学に対するパロディ。超パロディ。 高橋源一郎にしか出来ない芸当。

なぜか森鴎外に「たまごっち」をねだる夏目漱石。
伝言ダイヤルにはまり、ブルセラの店長になってしまう石川啄木。
啄木が超貧乏だったのは、女子高生と援助交際しすぎだからって設定になってたり。
私小説の極みに自著『蒲団』をAV映画として監督してしまう田山花袋。

花袋はカメラマンにこう言われる。

カメラマン「でも先生は『露骨なる描写』をやりたいとおっしゃった。先生がほんとにやりたかったのは『露骨なる描写』ですか、それとも文学ですか」

花袋「だから『露骨なる描写』に基づいた文学だよ」

カメラマン「ということは、文学で『露骨なる描写』が出来るとお考えなのですか。」

こんな風にAV監督とカメラマンが語り合う。
なんてシニカル。

さらに、島崎藤村と田山花袋の会話。

花袋「島崎」

藤村「なんだ」

花袋「ちょっと聞いていいか」

藤村「いいよ」

花袋「おまえ、オナニーするよな」

藤村「ええっ?」

花袋「オナニーだよ。オナニー」

藤村「なんだよ藪から棒に。僕は妻帯者だよ。」

花袋「妻帯者がなんだよ。妻帯者だろうと独身だろうと、ふつうオナニーぐらいするだろ。まさか、もうしなくなったなんていわんよな」

藤村「まあ、たまには……」

花袋「じゃあ、オカズはなにを使う?」

藤村「オカズって……」

(中略)

花袋「なんだよ。なに、もじもじしてるんだよ。自然主義の神様が、オナニーの話ぐらいでおたおたするなっていうの。」


なにこの会話。
電車で読んでて笑いそうになった。
パロディばっかりかと思ったら、夏目漱石の『こころ』の登場人物「K」の謎に迫る「Who is K?」に唸らされたりする。 これは立派な論文。

全編40以上の章にわかれ、600ページ以上の対策だが、明治以降の日本の文学史や思想をある程度知っていないと、全て楽しむことは困難。
何が元ネタでどこがパロディなのか分からない。

そんな高橋源一郎はやはり天才だと思う。
若年者向け虎の巻
学生時代、誰それが何という題名の小説を書いたかをいちいち暗記させられていた身としては、正に虎の巻とも思える本であり、思うに覚えさせる数多の国語教師に其々の小説が持つ素晴らしさやそれが書かれた背景を教える気がないのであれば、単に本書を生徒に手渡せば事足りるのに、と思わせる。都合の良い事に(今となっては多少時代遅れの感はあるが)、少年少女が目を輝かせる現代風俗に関する情報が随所に散りばめられており、良い意味で安易に読了出来る内容。勿論年配者が読んでも面白いのだろうが、これは若年者向けに最良と私は思った。冒頭から読み進め「たまごっち」なる単語が登場するまでに飽きなければ、「egg」読者であろうが最新の携帯電話の情報に人生の全てをかけているかのような者であろうが、殆どは間違いなく読了するであろう。実際のところ、これは実に大きな文学的収穫のような気がする。世界の中心で何かしらを叫んだ者の登場よりも。ただ、悲しいかな教科書で使われるという話を聞いたこともなければ絶対的な弾数も世界の中心より少ない。漫画喫茶にも置いていないだろうし小洒落た美容院にもないであろう。陽の目を見ない近年稀にみる良作。
パロディという名の批評
全篇これパロディ。しかしふざけたパロディではありません。適切なパロディには、対象を正しく捉え解釈する過程が必要。そこで、このレビューのタイトルとなる訳です。

明治以降、文体の確立と「内面」の表現に苦闘した文学者たちと、彼らをとりまく社会を、90年代後半の日本に持ってくる試み。彼らの生きた時代と現代が、たくみに重なり交錯します。この本では、漱石が妻子の喜ぶ「ViVi」に首をかしげ、啄木はエロ小説の代わりにアダルトビデオを借ります。その発想の豊かさ、細部にまで行き渡った芸の細かさに脱帽。

ただ、明治以降の日本の文学史や思想をある程度知っていないと、楽しむことは難しいでしょう。何が元ネタでどこがパロディなのか分からないと思います(その手の解説は一切なし)。

「二葉亭四迷って誰?」「自然主義って?」「大逆事件って?」という方は、高橋氏本人がインスパイアされたと語る「坊ちゃんの時代」という漫画(1997年手塚治文化賞受賞、関川夏央、谷口ジロー)を読んだ後で、本書を読まれることをお勧めします。