北海道人―松浦武四郎 (講談社文庫)

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北海道人―松浦武四郎 (講談社文庫)


講談社

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発売日: (2002-12) アマゾン売上ランキング: 356658 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 1件

一本木な探検家像
"北海道"の名づけ親として知られる松浦武四郎。
弘化年間から幕末期にかけ都合6度の蝦夷地探索を敢行、
当時ほとんど知られなかった内陸部まで探索を極めた彼は、単に健脚家であるに留まらず、
地理・民俗・言語・本草学など多岐に渡る分野で膨大な記録を残した。
質・量両面において突出した成果を残した彼は、本邦史上最大の探検家と言っても過言でないだろう。

本書はその松浦武四郎を主役に据えた時代小説。16歳で生家を出奔し、71歳で没するまでの生涯を描く。
なるべく虚構を抑えようという著者の配慮が見え、武四郎自身が残した記録を引用しながら、
その生涯を再現しようという姿勢が見られる。
そこに幕末維新の激動に向かう時代風景を重ね合わせる事で、
武四郎という人物を一層鮮やかに浮かび上がらせようとしている。

武四郎の旅程については大まかに通過地を示すのみに留め、所々で出会うアイヌとの交流を重視して描いている。
その多くは武四郎の著作である"近世蝦夷人物誌"に見えるエピソードを再現したものである。
場所請負制のもと、アイヌの立場は対等な交易相手から搾取される労働力へと変質し、武四郎の時代には困窮を極めていた。
武四郎はアイヌの窮状を深く憂慮し、身の危険も顧みず松前藩と場所請負人を手厳しく非難している。
正義感溢れ、筋の通らぬ者は容赦なく断罪せねば気が済まぬ。
著者が武四郎に最も魅力感じている点は、その一本気な人間性のようだ。
明治新政府の職を辞した武四郎の見る、ある夢。
それを終章に配置した点に、著者の武四郎観が最もよく表れている。