冬の伽藍 (講談社文庫)

- 講談社 価格 ¥ 880
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冬の伽藍 (講談社文庫)


講談社

価格(new/used): 880 円 / 158 円 より
発売日: (2002-06) アマゾン売上ランキング: 45886 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 18件

思わずもらい泣き〜
小池真理子を読むのはこれで3作品目くらいですが、
過去の痛手を抱えながら、医師”義彦”を愛する半面、同じく医師の義父にどうしようなく惹かれる主人公の気持ちに深く入り込んで共感できた。
(義父がなかなか魅力的に感じました。)

ストーリーはどんどん切ない展開になっていきますが、
絶望的な中でも再会し、抱擁し合う彼らの姿が目に浮かぶような。。
そんな、もらい泣き作品でした。



冷え切った魂を溶かし、熱を帯びて燃え上がる物語
この作品を読んだ時、小池真理子の印象は180度変わった。

物語は3章構成。
1章では、主人公である薬剤師の悠子と、医師である兵藤義彦の出会いと悲劇の幕明け。2章では、悠子と義彦の手紙のやりとり。3章は悠子の親友である摂子の視点から物語が綴られている。
悠子は夫を交通事故で亡くした女であり、義彦は妻に自殺された男である。義彦の義父で好色な英二郎とその内縁の妻・聡子、悠子の親友である摂子とその夫、義彦を慕う慢性白血病と闘う少女などが登場するが、周囲の登場人物の数は決して多くはなく、物語りの長さを考えればむしろ少ない。
そんな中で、冷えた魂を抱えた悠子と義彦が、どのようにしてその魂を徐々に溶かし、熱を帯びて燃え上がっていったのかを綴り、そのために起こった悲劇と、その後の再生を綴った後半の物語は、最後の場面に向かって時にもどかしいほど緩やかに進んで行く。是非読むべし!

何故??でもその気持ち、わかるかも。
小池真理子さんの恋愛ものはほとんど読んでいます。
『禁断の恋』が描かれている事が多いと思うのですが、今回は恋に落ちても別に問題のない二人の話です。
と、思ったら!!!そんな二人の間に義父が加わり、一気に禁断の恋(?)が始まるのです!

普通に考えれば、近くに愛しい・美しい男性がいるのに、何故老人に惑わされるの?と疑問を持ってしまいます。
しかも、彼の義父です。初めは「絶対ありえない!」って思っていたのですが、
読んでいくうちに彼女の揺れる気持ちがとても良くわかりました。
男性から見ると「浮気性」「尻軽女」のように思われてしまうかもしれませんが、
同じ女性として、彼女の先生を愛する気持ちの半面で、義父を断れない気持ちは理解できました。
同じ立場に立ったら、きっと私も断れないと思います・・・

ラストシーンはとても美しく、続きが読みたいな~と思いました。
自分でストーリーを作るより、小池真理子さんがどう書くかを読んでみたい。と思わせるラストでした。

昼ドラ並みにドロドロなのに…
かなりあり得ない話なのにどうしてこんなにリアルなのでしょう?!「好きな男の養父の誘いに乗る女なんて…」と思うかもしれないですが、悠子が誘いを断れなかった気持ちも読んでいたらリアルに伝わってきます。むしろ悠子が「性」の象徴である兵藤英一郎に惹かれなかったらしらけたはず…だってそれが人間らしさだと思うから。しかし二章・三章での悠子の一途さは圧巻です。「ここまで一人の男を思い続けるってどういうことだろう…」と胸が締め付けられます。ラストは気づいたら泣いていました。ドロドロの話だったはずなのに、読後は何故かピュアな気持ちになるんですよ。オススメです。
愛したという事実
ドキドキするミステリーも好きだが,言葉が出てこなくなるほど胸が締め付けられる恋愛小説もまた心地よい。そこが小池真理子の世界なんだと納得できる作品。過去に訳ありの男と女が出会い,やがて恋に落ち愛し合う。それは,そこから始まる長い長い心の喪失,虚無感の始まりであった。第1章から第2章への展開の変化。第2章がこの作品を際だたせている。読んでいてただ切なさだけが積もっていく第3章。そして,最終結末。作品は終わっても,その後の義彦と悠子の姿がはっきり見えるようなその終わり方は,切なさだけが降り積もった心の中に少しだけあたたかなぬくもりを感じさせてくれる。そう,それはまさしく「まちがいなく,あの時,2人は確かに愛した」という確信なのであろう。読み終えた後にいろいろなことを考えさせられる作品。個人的には小説の舞台の軽井沢千ヶ滝地区に毎年行っているので,風景を脳裏に浮かべながら一気に最後まで読み終えた。小池真理子ワールドの代表的作品の1つ。読んで損はない。しかし,彼女の作品の男性はいつも決まって寡黙で冷たく,そして美し過ぎる。