量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世...

和田 純夫 - 講談社 価格 ¥ 1,155
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量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在 (ブルーバックス 1600)

和田 純夫
講談社

価格(new/used): 1,155 円 / 650 円 より
発売日: (2008-05) アマゾン売上ランキング: 10182 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

僕は死なない
 昔、量子論の多世界解釈を最初に読んだとき。
 「これが事実なら僕は死なないんじゃないか?」
 と思いました。
 どうも、この本に書かれたとおりそれが主観的事実(?)のように思えてきました。
 この本も読むのに苦労しましたが、知的興奮に満ちた良書です。
「たまにこうした本を読んで、気分を変えてみる」という効果はありました
 なんといいましょうか、単に興味本意でブルーバックスぐらいのレベルの本を時々読んでは、「こんな考え方もあるんか」と驚きあきれることを1年に数回やっている身にとっては、「よくわかんないけどスゴイことを考えている人たちが世の中にはいるもんだ」ということにつきるか、と。

 EPRのパラドックスの問題に関して伝統的なコペンハーゲン解釈で「波動関数の収縮」として扱う現象は、多世界解釈では「干渉性(コヒーレンス)の喪失」として扱われるそうですが、なんと、著者によると、物理学の世界ではこの多世界解釈を支持する意見が多数を占めるとか。

 多世界解釈の創始者エヴェレットの説をさらに先鋭化させたドイチの多世界解釈を、よく理解するまでには至りませんが、日本語で簡単に読ませていただいたのはラッキーかな、と。

 個人的には、といいますか、理解の及ぶ範囲といいますか、知ってる範囲では、ファインマンさんが「量子力学の精髄」と呼んだ二重スリット実験の解釈に関してはガイド波の存在を考慮した解釈がわかりやすいんじゃないかと思っていましたが、なんでも、著者によれば下火だそうですが…。
意識をもつ観測者が状態を収縮させるのか?自分のコピーが無数に存在するのか?
量子力学の教科書で定番の「コペンハーゲン解釈」に対抗する新解釈「多世界解釈」の立場を解説:【目次】第1章 不思議な世界、第2章 従来の描像に固執すると、第3章 推論による収縮、第4章 拡大されたホラー物語、第5章 先人の証言、第6章 ヒルベルト空間に移動せよ、第7章 望まれる局所性、第8章 多世界への導入、第9章 多世界を利用する1−信じがたい観測、第10章 多世界を利用する2−量子コンピュータ、第11章 多世界解釈の推進者たち、第12章 多世界の恐怖、第13章 古典戦士−ロジャー・ペンローズ、第14章 新時代の戦士−アントン・ツァイリンガー、第15章 多世界解釈の証明と改良

本書の主題を一言で表すなら、「量子力学の観測問題(e.g."シュレディンガーの猫","EPRのパラドックス")において、コペンハーゲン解釈の"波動関数の収縮"は、多世界解釈では"干渉性(コヒーレンス)の喪失"のことである」となります… この文章を理解できる方が本書の読者対象だと思います(→ つまり大学で量子力学・相対論を履修した方)。数式は殆ど出てきませんが、内容的に(ブルーバックスにしては)敷居が高目な感あり。
読み終えても「多世界解釈」は確立した理論ではないことが分かるだけですが("実験が示唆"≠"実験が実証")、「多世界解釈」等の新解釈に関わる人々の話は興味深く読めました。多世界(無限に分化する並行宇宙)の何とも言えない薄気味悪さは、カントールが無限集合に関するideaに気付いた時に洩らした感想 "Je le vois, mais je ne le crois pas!"(私は見た、でも信じられない)"に通じるものがありますね。パウリが本書を読めば"Not even wrong !"(=反証可能性は?)と悪態を吐いたかもしれませんが。(特にペンローズに?(笑))
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