きのうの世界

- 講談社 価格 ¥ 1,785
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きのうの世界


講談社

価格(new/used): 1,785 円 / 743 円 より
発売日: (2008-09-04) アマゾン売上ランキング: 22805 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 3.5 / 総数: 6件

結末がひどい
この作品は、水路と3つの塔が印象的なM町を訪れてそこで生活し始めた市川吾郎という男が何の目的でこの町を訪れ、そして殺されてしまったのかという謎をメインに話が展開していく。
内容はこの町に住んでいる人物の事件のかかわりや「あなた」と呼ばれる人間が市川吾郎が東京から突然失踪し、M町で殺されてしまった理由を調べにやってくる描写が描かれ、次第にこの町の本当の姿や事件の真相が明らかになっていく。
私は話の中盤辺りまでは、非常に楽しく読めたが、終盤に明らかになるM町の秘密が明らかになったところからつまらなく感じ出してしまった。M町の秘密はそれほど衝撃な内容ではなかった。
そして一番がっかりしたのは、市川吾郎という人物が殺された水無月橋の殺人事件の真相があまりにも現実離れし過ぎていたことである。この作品は中盤までは現実的な話だったが、終盤からSF、ファンタジー色がかなり濃くなりリアリティが無くなる。したがって推理小説を期待して読む人には絶対にお勧めできない。かなり結末がいい加減なので、ミステリ好きは必ずと言っていいほど、読んでがっかりするだろう。
個人的意見としては、恩田陸ファン以外の人はあまり楽しめないのではないかと思う。
この気だるさがたまらない。
 読んでいて漂ってくる脱力感、意味不明な気だるさが常に恩田氏の著作には付きまとう。けれど、この感覚が著者の特徴であり、ファンである読者にとっては快感なのだと思う。この心地良さを求めて、また読んでしまった。
 今回はかなりの長編だった。次回作も長編だとうれしくなる。
やや難解でいわゆる「推理小説」にないジャンル。好き嫌いが分かれるのでは?
冒頭の第一章から、かなり特徴がある。ある町の風景を、通常の小説のように鳥瞰図のように客観的に説明するのではなく、訪れた人物の目線を追う形で語る。これが、個人的には非常に読みづらかった。もちろん、この部分は物語の重要な部分なので、しっかりと読まなければならないのだが、ここで、なんだか、不思議な感覚に襲われる。更に、語り手がどんどん変わり、しかも、超常現象的なテーマも含まれ、物語はどんどん拡散してゆくような印象を与える。いわゆる「殺人」「謎解き」というつくりではなく、謎は舞台となる町の存在自体へと拡大してゆく。
後半、一気にすべてが展開し、最後にすべてが明らかになるが、謎解きの部分はスッキリと腑に落ちる、という感じではなく、読んだあとの爽快感もない。事件が終わったあとに、何が残るのかというと、何も残っていないようにも感じられる。
作者の引き出しの多さがよくわかる。ただ、よくできてはいるけれど、好き嫌いが分かれる作品ではある。
人間嫌いのファンタジー
500ページ近い長い話を一気に読まされた.その点では大変な迫力である.しかし,では何を読まされたのか ? この話の主人公は人間ではなく,M という名の町なのだ.この町には恐ろしい秘密が隠されていて,それが何でどう働くのか,が話のテーマなのだ.異常な才能を持った東京の会社員はこの町の秘密を見抜いたらしいが,どう働くかを見ることなく死体になってしまう.この会社員がこの町でなぜ殺されたのかを調べに東京からきた あなた (二人称) はどう働くかを見たがそこで寿命が尽き,生きて東京に帰ることはない.以上の二人を含め,多数の人物が登場するが,作者は誰にも同情的でなく,従って読者として感情移入の対象になる人がない.ひたすら荒唐無稽な舞台装置を嘆賞するだけ.だから何を読んだのか納得が行かないのだ,と思う.ファンタジーとしても,人間の働きかけを拒むファンタジーは何とも空しいものだ,と言わざるを得ない.
アナザー イエスタデイ
恩田陸久々の長編ミステリ。
全19章、500ページ近くと、氏の作品群の中でも
最長編に近い一冊、ゆっくり腰を据えて読んでください。

ストーリーに関しては他のレビュアーの方が的確なレビューを書いてくれているので、そちらを参考にしてください。
突然失踪した男、その死体、閉じられた田舎の町、謎の塔。
これぞミステリーといわんばかりのキーワード、作者らしいです。

ネタバレではありませんが、本作の特徴として、作品の大部分が珍しい「二人称」で構成されています。氏としては代表的なものは「象と耳鳴り」の「往復書簡」くらいじゃないかなぁ。
具体的には二人称の章、三人称に章を交互に繰り返し、謎に追いかけます。
二人称で「あなたは」と話しかけられている間は、その話しかけられている人物は、物語後半になるまで明かされません。
まるで自分が探偵として物語に参加しているようでした。
登場人物が出揃う後半からは一転、諸処の人物が入り乱れ、三人称のみで加速度的に謎に迫ります。

「禁じられた楽園」のような雰囲気もありましたが、SFやファンタジー要素はなく、なるほどきのうの世界、久々の純粋(?)なミステリーです。
ちなみにちゃんと着地しているので、近年の氏の作品に閉口している方も、
一見の価値はあるはずです。傑作でした。

タイトルにも拝借した洋題もオシャレで、なるほどと思わされる。
映像化はムリそうですが、そのタイトルでもいいですね。

ところで本作は新聞紙上で一年半ほど連載されていたそうだが、
紙上で追いかけられた読者はいるのだろうかと思ってしまった。
それくらい、時間軸も飛ぶ上に、長いので…

「例えば、印刷したチラシならば躊躇することなく丸めて捨てられる。しかし、これが肉筆の手紙だったらどうだろう?(中略)肉筆で書かれたものを捨てることには抵抗がある。それはきっと、書いた文字もその人の一部だからだ。」 本文265ページより
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