浪漫的な行軍の記録

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浪漫的な行軍の記録


講談社

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発売日: (2002-11) アマゾン売上ランキング: 466712 位
単行本 / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 1件

行軍はまだ続いている
奥泉氏の大作『グランド・ミステリー』のなかの、日本軍批判の部分を圧縮させたような内容である。

ということは、グランド・ミステリーの推理小説的部分ばかりが気になって同書を読み、かつての日本軍のあり方や、また、現在の日本のあり方に思いを深くするような事のなかったような人には、ぜったいお薦めできない。

このような悲惨な行軍を強いられた人々が、なんの呪詛ももたずに死んでいったとは考えづらい。
その呪詛の先は、多くは軍の上層部にたいするもので、天皇や、あるいは日本全体のあり方にまで、射程を深く取るものはなかったかもしれない。
だが死んでいった彼らが、もし今の我々を見ることができたら、どうか?

想像力が試されるところである。
靖国に祀られ、それで彼らの呪詛の幾ばくかでも安らぐなどと考えるなどというのは、どうしても不遜に思えて仕方がない。

戦争アレルギーとまで揶揄されたかつての悲惨な戦争の記憶だって、昨今の言論界を見ると、やはり忘却とは無縁とは言えないようである。
だからこそ、このような志の高い作品は、もっともっと書かれなくてはならない。