決壊 (講談社文芸文庫)

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決壊 (講談社文芸文庫)


講談社

価格(new/used): 1,365 円 / 849 円 より
発売日: (2006-10-11) アマゾン売上ランキング: 302644 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 1件

著者のエッセンスが凝縮された短編集
小林氏の著作を考えるとき、決まっていくつかのキーワードが
浮かび上がってくる。「自意識」「喪失感」「世代観」etc.──
代表的な仕事の一つである(昭和までの)芸人批評は別として、
小説やエッセイなど、氏が自身のパーソナリティを軸として
書いているものはたいてい、それらのキーワードが
いろんな形に絡み合った上に成り立っているように思う。

本書には5編の短編が収録されているけれど、
いずれも主人公は小林氏本人を思わせる。
半自伝的といってもいいかも知れない。
その鬱屈した自意識の描写はいかにも純文学っぽい
ウェット感を含んでいて、ファンには“やっぱり小林氏”
という安堵感のようなものを抱かせる反面、
初めて触れる氏の著作が本書だと、ちょっと誤解を与えるかも知れない。

くり返しになるけれど、下手すれば鼻につきかねない氏の自意識は
とりもなおさず、終戦と復興に伴い、故郷はじめ様々なものを
失った事による喪失感や、時代の奔流になりふり構っていられなかった
世代の自負といったものとセットで捉える必要があると思う。
そういった意味で本書は、数多い氏の仕事の中でも、
かなり“濃い”部類にはいるのではなかろうか、と思う。