死霊〈1〉 (講談社文芸文庫)

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死霊〈1〉 (講談社文芸文庫)


講談社

価格(new/used): 1,470 円 / 948 円 より
発売日: (2003-02) アマゾン売上ランキング: 65211 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 19件

人は何をもって、人足りえるのか…
人は生まれたときから人であろうか?
それともその人生の過程で人となるのか?

我々は人間である。では、人間とは何だ。
動物ではなく人を人間たらしめているものは。
未だ動物から脱却できず、人になれぬものには理解できないのがこの本であろう。
もし、この本が理解できぬなら貴方はまだ人ではないのかもしれぬ。
理解できたのならば人でなく人を超えた超人になるかも知れない。

しかし、それこそが人なのであろう。
全てに意味は無い。全てが無意味である。
では、人生とは如何に?
騙されるな!これはとてもポップな青春小説だ。
これは、「わけがわからないことを考えてしまう」という自然な青春を、ごく素直に表現してある小説。

深夜枠でアニメ化されていないのが不思議だ(私が知らないだけ?)。

例えば、「2001年宇宙の旅」で単純に高揚できる人ならば、このレビューの意味を、読み始めてすぐにわかってくれると思う。
私が私である不快。
 「大きくなったら何になりたい?」「あなたの夢は何ですか?」誰もが一度は投げかけられたことがある問いだろう。だが社会で権威を与えられている何かに自らをなぞらえ、或いは純粋な憧れから「〜になりたい。」と答えてしまった瞬間に奇妙な不一致が自己の内部をよぎった経験はないだろうか。例えば「私は医者になりたい。」このように言い切ったときに生じてくる自らへの問いかけ、・・・じゃあ、私から医者を引いたなら私はゼロになってしまうのだろうか?何か残っているよな。はたして私は医者になりきれるのだろうか?・・・自己実現(自己をあるべき自己に一致させてゆく過程)と呼ばれる言葉が社会に氾濫し始めてから暫くたつが、自らをある対象に同一化させる動作は本質的な欺瞞を含みこんでいるのではないだろうか。作者が死霊の中で一貫してこだわり続ける主題はこの私が私であると言い切ることから生じる不快感である。一方人間が特定の場所で特定の役割を果たさなければ(人が何かにならなければ)社会は維持できないという事実も厳然として存在している。それでもなお、私が私であることに対して居心地の悪さを感じるならば、一度死霊を紐解かれてみるのもよいかもしれない。
考えに考えてそれでもなお考えて、ぷふぃそしてあっは。
1巻は探偵小説なので面白い。
それ以後の巻は、思考を強制する呪文、そしてその思考の継続を受け継げさせるための遺言のような感じ。

そんな書が文庫になってしまうのは、悲しいというか社会の終焉さえ感じさせる。

存在というものに、秩序や整合性や必然性を感じるか、意味の無意味性を追求するか、問い自体の空虚を感じるか、いずれにしても、人間の感覚に根ざしている点で、哲学小説ではなく、おそらくもっと単純で深遠である。



最高級の贅沢
今まであるはずのない「虚体」という概念を追い求めて、
壮大な形而上学を展開した思想小説。
それぞれの人物が何か一つの概念の小宇宙を体現している感じ。
そういった小宇宙がどのように関係をもつか、
とてつもない思想実験をしている様子を描写しているように思う。
そういう意味で仮構に徹している作品であり
現実味という生々しさは全くない。
ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟なんかには
それでも人物の人間味みたいなものも付与されていたが
これは全くそういったものを取り払った、純化した感じ。
でもだからこそ最高級の仮構であり、現実とはまったく
かけ離れている。現実とかけ離れたものこそが
現実を照らすという弁証法も成り立つかもしれないが。
神に対して挑戦を挑んだ作者が
「創造」に関してどこまで考え抜くことができるか
そういった人間の可能性について教えてくれる。
しかし、これは現実ではなく、ある種
最高級の贅沢なのではなかろうか。