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赤い人 (講談社文庫) |
| - 講談社 価格 ¥ 520 | |
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赤い人 (講談社文庫)講談社 価格(new/used): 520 円 / 145 円 より 発売日: (1984-01) アマゾン売上ランキング: 90139 位 文庫 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 4件 吉村記録文学の粋旭川と札幌を結ぶ国道12号は、道内の基幹道路。 道の途中、空知太には「直線道路日本一」のモニュメントが建つ。 29.2kmに及ぶ直線道路の左右には商業施設が櫛比し、観光客にとってさえ退屈な風景に映る。 けれど今から約140年前のこの地は、全く未開の原野だった。 寒気激しく荒涼としたこの地の開拓に命を散らして行ったのは、明治期北海道に収監された囚人たちである。 本書は明治14年、樺戸集治監設置から大正8年の廃止まで、約40年に及ぶ北海道監獄史を描く記録小説。 主役というべき主役はおらず、精密な資料批判を元とし、囚人労働の事実を描いてゆく。 幌内・アトサヌプリなどの鉱山労働、そして明治20年代に本格化した中央道路の開削。 政府高官により「モトヨリ暴戻ノ徒」とされた囚人たちは「斃死スルモ」、 「監獄費支出の困難を告グル今日ニオイテ、万止ムヲ得ザル政略ナリ」であり「コレ実ニ一挙両全の策」とされた。 (金子堅太郎の復命書より) 囚人たちはほとんど言葉を発しない。読者に突き付けられるのは「犠牲者」という冷徹なまでの"数字"である。 初めて作中で彼らの一人が発した言葉は 「極楽」 雪中の護送の末、たった一杯の味噌汁にありついた時の一言である。 悲憤に満ちた激越さなと欠片もない抑制された筆致で、だからこそ逆に読者の胸を深く圧迫する"実録"の凄みがある。 吉村記録文学の粋と言っていい。 今から数年前、僕はこの中央道路の跡を旅した。市来知から空知、旭川から北見峠を越えて網走へ。 北見峠、遠軽町瀬戸瀬、端野町緋牛内。沿道の数箇所に、そこに倒れた囚人たちの慰霊碑があった。 鉄丸をはめられたまま、名も残さずに散って行った「赤い人」 北海道の空の下で感じた、胸の塞がるような想いを忘れられない。 興味深いのだが、冗長北海道開拓には、多大な、囚人の労働力がつぎ込まれていたことがよくわかる。その中で、看守と囚人の間にさまざまないざこざがあったことも、手に取るようにわかる。ただ、全240ページが同じ調子で進んでいくので、変化に欠ける。もう少し、コンパクトにならないものかと思いながら読破した。 ★★★の評価をつけたが、吉村氏の作品としては★★。 北海道を学びたい毎年北海道を旅する私にとって、北海道の道路は欠かせない。 しかし、この道路建築は暗い歴史が土台となっていた。 本書は北海道への入植、囚人収容施設、炭山開発、アイヌとの関わり等、北海道の歴史をなぞることができる懇親の一作だ。 旅の見方が変わるかもしれないと同時に、北海道という大地の歴史を、もう少し深く学びたいと思わせてくれた一冊だった。 かつては囚人の人権など無かった日本わが国では、今でこそ刑が軽すぎることが問題視されているが、かつてはこれほどまでに厳罰主義だったのかと驚嘆させられる。 いや、刑罰以前の問題で、囚人の人権など微塵も無かった訳だ。 筆致があくまで客観的であるため、余計に痛々しさが強く伝わってくる。 吉村昭さんでなければ書けなかったと思います。 |