好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベ...

- 講談社 価格 ¥ 945
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好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)


講談社

価格(new/used): 945 円 / 315 円 より
発売日: (2006-08-08) アマゾン売上ランキング: 177549 位
新書 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 6件

舞城世界炸裂
芥川賞候補作品だったことをレビューを見て知ったが
別にこれは芥川賞とらなくてよかったと思う。
そもそもあの賞は最近、何だこれは?という問いかけじみたものが多いし
受賞者に若い人が話が多いのも特徴的だけれど(話題性?
当てはまっているようで、なんか違う。なんとなくだけれど、
舞城は、こういう賞をとるような作家ではない気がする。
この人の話しは、一応文章としては最後に「?」をつける、問いかけ型だけど
こちら側の思考能力を突破してるところがある上に、その問いかけには8割くらい舞城の答えができあがっていて
読者が考える余地がかなり少ない。
だけれど舞城の作る世界は堅牢にして柔軟。みっちりしているクセに外見スカスカに見える。軽い文体に読んで見てダマサレター と思いつつ楽しめる。
そんな魅力。舞城の世界に入り込みたい人が読む話だから
大衆向けの名前の大きい賞は似合わないと思う。というか、つりあわない。
だけれどこの本、愛をくどいくらいうたっているタイトルに負けず劣らず。
愛ってなんだ?と思った時、読んで見ると面白いと思う。
関係のメタ化を突き抜けて
物語序盤で、中学生の慶喜くんがいう「メタ化された友達」という言葉が印象的だ。メタ化された関係は、実質ではなく、形式を重視する。
その関係においては、振る舞い、ポーズが優先され、気持ちは後回しにされる。本来、気持ちが生じて、結果行為へと続いていくはずなのに。
そんなふうに感情と行為の順番が逆転してしまった世界を、もう一度反転させようというのがこの小説のねらいだろうか。

けれども相手に対する気持ちは、どうやったら真っ直ぐに届くのだろうか? 
行為の形式へ当てはめなければそれは不可能ではないのか?
感情から行為への連結は、思う以上に難しい。
自分で自分の感情を偽ることもあるからだ。

関係のメタ化を突き抜けて、愛する人を愛することは困難を極めている。
愛することとは?
第131回(2004年下半期)の芥川龍之介賞候補作となったんだけども、石原慎太郎に「タイトルを見ただけでうんざりした」と批判された作品。

ちなみに池澤夏樹・山田詠美などは強く推したらしい。
やるね、この二人。


さらにちなみに、この時芥川賞受賞したのが阿部和重『グランドフィナーレ』。

石原慎太郎が『好き好き大好き超愛してる。』を「タイトル見ただけでうんざりした」とか言うなら、『グランドフィナーレ』は、「ストーリーにうんざりした」って言えよとか思いながらも、今回は舞城のレビューなのでこの辺でやめとく。


芥川賞取ったら芥川賞を見直していたかもしれないけど、芥川賞とるタイプの作品じゃないって感じ。

セカチューに対するアンチテーゼ的な作品であって、タイトルにもあるように、とにかく「愛する」ということを真っ直ぐに描く。

「愛する」ってどういう事なんだろう。

昨今小説で表現される愛って言うのはどうも、「死」と結び付けなきゃ気がすまないみたいだ。

そんな表現以外にも、もちろん「愛」はあるんだぜ!

と舞城は叫ぶ。石原には届かないが。


僕は単純にこの小説を評価する。
恋愛小説大嫌いだけど、この小説を評価する。
伝えられなかった愛と、残されたたくさんの愛
『世界の中心で愛を叫ぶ』は感動したし、映画も見た。泣いた。
隣の席に座ってるおねえちゃんにドン引きされた。

結局のところ、作者は何を書きたかったのだろうか?
『世界の中心で愛を叫ぶ』の逆サイド作だとも取れるし、
けれど、『世界の中心で愛を叫ぶ』の小説中で“はしょられた”
「恋人の死」から「大人となってそれを乗り越えたあと」
その中間部分を繋ぐような作品にも思える。

ただ、『世界の中心で愛を叫ぶ』が「愛と喪失による悲しみ」を描いていたことを考えると、
当書が、その「愛と喪失」だけをテーマにしているようには少し思えなかった。
愛をテーマとしている割には、現実的な物語でありすぎるし、
もう一歩踏み込んだ、ある意味、問題提議的な作品に思えてならない。

ここで書かれているのは、どう生きるか、じゃないのか。

死の果てにあるのは喪失による悲しみだけじゃない。
残された人たちは、残されただけのリアルな時間を、それでも生きるべきなのだ。
歩み、進み続けるべきなのだ。
不器用だって良い。後悔だらけだって良い。
なぜって、“生きていることこそが素晴らしい”のだから。
芥川賞とって欲しかった……
おそらくはセカチューを意識して書かれた作品。
小説の中だからって簡単に人を殺してもいいのか? 
自分の言葉が他者に与える影響を考えたことはあるのか?
これは舞城自身の現代小説に対する問いかけなのだと思う。
そして、その主題を表現するためのぶっ飛んだ構造を可能にするのが舞城の技巧、才能である。
独特の文体もあいまって構成される舞城ワールドを是非堪能して欲しい。