善の研究 <全注釈> (講談社学術文庫)

小坂 国継 - 講談社 価格 ¥ 1,155
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善の研究 <全注釈> (講談社学術文庫)

小坂 国継
講談社

価格(new/used): 1,155 円 / -- 円 より
発売日: (2006-09-08) アマゾン売上ランキング: 100516 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 2件

一回目は岩波版で、二回目は本書で
第1篇「純粋経験」、2篇「実在」、3篇「善」、4篇「宗教」の構成。著者自身は、初めて読む人は、1篇は後回しにせよ、と言っているが、内容のユニークさから行けば、断然1篇で、これを読まずして、本書は何の意味もないといっても過言ではない。今になると、形は整っていても、「実在」や、諸学説を「アカデミックに」検討した「善」の篇は、私には、面白みは乏しかった。尤も、今の時代に、本書を読んで、斬新さ、新鮮さを得ようとするのは、なかなか、読み手の問題意識次第で、難しいと思う。本書全体のモティーフになる「純粋経験」も、ジェイムズの「pure experience」にほぼ同じで、これに、ヘーゲルの「意識の経験」「弁証法」を合わせると、いや、或いはショーペンハウアーの「表象」を考えると、西田のオリジナリティなるものは、著しく減少する。さらに言えば、ベルクソンの「持続」の影響や、徹底して「意識」から出発する構えは現象学で、この時代の西欧哲学の流行の中にすっぽり覆われてしまう。にも拘らず、独自の文体で語り展開する本書は、とても魅力的で、繰り返し読むことを飽きさせることはない。まさに、日本人が「近代」において語った最初の哲学だと思う。或る人が、西田の哲学は、「悲しみの哲学だ」と言ったことがあり、この哲学の通奏低音を、西田の「悲しみ」の感情にみているのを聞いて、自分はとても共感したことがある。体系的であることや、抽象性から普遍性を展開するなど、独創的な哲学の要素はあるにしても、尚惹き付けて止まない、その力は、実は西田の剥き出しの「感情」が、この哲学的な言説に乗って展開されているからではないか。知識のモザイクではなく、詩や小説のように、何かを「詠っている」ためだろう。そう意味で、廣松渉を含めても、なお初めての「哲学者」だったと思う。最初は、岩波版で通読し、メッセージを感じたら、解説のある本書で読むのが良いかもしれない。純粋経験を唯一の実体とし、他の諸概念は、そこからの派生で、相対的な差異しかないとする西田哲学は、その文体と相俟って、案外に、分析的には捉えにくい。丁寧で懇切な解説は、大いに役立つと思う。
注釈付きです
さて、西田の主著である「善の研究」は既に岩波文庫から出版されていて、版を重ねています。講談社は学術文庫として西田研究として有名な小阪国継氏の全注釈付きの物を発刊しました。オリジナルの文体は仮名遣いを現代風に変更されています。本文に次いで注釈および解説がされているので、今まで途中で挫折していた人にも読めるように配慮がなされています。分量は岩波の3倍以上の厚さになりますが、語句、人名などの注釈、説明がなされているので非常に読みやすく、確認作業を行いながら読み進めることが出来ます。これで難解とは言えなかったけど、読むのに苦労した「善の研究」が読めると思います。