キリスト教の歴史 (講談社学術文庫)

- 講談社 価格 ¥ 945
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キリスト教の歴史 (講談社学術文庫)


講談社

価格(new/used): 945 円 / 263 円 より
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 3.5 / 総数: 2件

すごい表題だとつくづく思わずにはいられない
 タイトルだけを見れば、この手の本なんて腐るほどありそうなものだけれども、そして
事実、世界中に浜の真砂のごとく溢れているには違いないのだが、概説書としてこの程度の
分量で読めて、一応の範囲をコートして、水準もそれなりとなると、困ったことに、実は
なかなか見当たらない。2000年を積み重ね、なおかつ世界中に濃密に入り込んだこの宗教の
歴史をコンパクトに削り落とす作業の困難を思えば、それに着手すること自体が無謀といえば
無謀、ゆえに、それもまたやむを得ぬこと。そうして結果残るのは、日本語では実はこの本
くらいしかないのかもしれない。

 世界史の中にキリスト教を位置づけるこの試み、全編で250ページ、簡潔といえばあまりに
簡潔、それってどうなんだ、と疑問に思う箇所もないこともない。けれども、入門書としては
事実良書である、とは思う。
巨大な問題はこの程度の小著では・・・。ただし、近代部には魅力あり
欧米で出ている「キリスト教史」の本はとにかく大部。「教義」の歴史、「教会史」等々取り上げるべき対象は幅広く、しかも対象は2000年以上(イエス以前のユダヤ思想が不可欠である)。それを250頁の文庫で…というのはそもそも無謀な試みである。当然、個々の出来事の深層には迫れないから、「文章で記述した『年表』」に留まるだろうと予想した。

実際、中世までの記述は『年表』の域から大きく上回る成果は上がっていない。ただ、近代についての記述は一読の価値があると思う。その理由は、この部分では狭義のキリスト教史というより、広く知られた哲学者・文学者の著作の背後にあるキリスト教の姿を描くことに著者はその多くの読書と思索の蓄積をもとに、果敢なチャレンジを行っている。無論、これらを専門とする方には多くの不満が出ようが、愚生レベルの素人にはかなりの魅力がある。この点の魅力ゆえに、☆をややサービスした。

なお、著者の序文等に寄れば本書は複数の大学での長年の講義のためのノートが基礎になっているらしい。これは極めて失礼なことだが、講義の対象は「キリスト教」や「近代思想」を専攻する学生ではなさそう。実際の講義では本書の記述より、遥かに噛み砕き、多くの補足解説がなされたと想像する。「学術文庫」(といっても一般に読者への要求レベルは高くないが)では、この程度の小著でも結構なお値段になる。
それよりは、内容の大幅な増加は無理でも、一般に「選書」と呼ばれる叢書などに、「キリスト教を軸にした近代思想と近代文学」といった形での出版の方が、多くの読者を得られたかも…、と思うが、これは出版界の事情を知らない愚生の無責任な感想。妄言多謝。