スピノザの世界―神あるいは自然

上野 修 - 講談社 価格 ¥ 756
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スピノザの世界―神あるいは自然

上野 修
講談社

価格(new/used): 756 円 / 480 円 より
発売日: (2005-04-19) アマゾン売上ランキング: 52133 位
新書 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 5件

神と世界をゆるしましょう
昔スピノザの“エチカ”を読んだとき、なんだか数学の定理みたいな文章の羅列に恐れをなしてすぐに投げ出したことがありました。 10年前にこの上野氏の解説書があったらどんなに良かったか。

第四章は難しかったけど、何度か読むと理解できました。 第五章は痛快なことが書いてありますねえ。上野氏のスピノザ解釈が正しいとするなら(なんかスピノザみたいな言い方)、彼の哲学はわれわれアジア人にとっては完全−とは言えなくともほとんど違和感なく受け入れられるものでしょう。 逆に人格神を奉じる人から見ればまさに邪教。 それにしても一神教の世界に生まれたスピノザは、一体どこからこのような世界の見方を得たのでしょう。 まったくの独創なのでしょうか? すべてが整然と定理化されていて、あまりに明快すぎて(究極の演繹法ですね)、迷える凡人たる私には“え? それでホントにいいわけ?”と突っ込みをいれたくなる気がなきにしもあらず。 むしろ世界の人々がこんなに明快なスピノザ哲学を受け入れないのはそれが正しくないからというよりは、みんな私のように疑りぶかいだけだからだったりして。

大きな自然の必然の中にある自分。スピノザが禅僧のようにもみえてくる。
 新書で短く、良く書かれたスピノザの解説書と思う。主に「知性改善論」「エチカ」を扱い、スピノザは世界をどんなふうにみていたのか、と説いていく。
 スピノザにはニーチェが感動し、アインシュタインやフロイトも影響された。最近の脳科学でもとりあげる研究者もあるなど、気になる哲学者である。しかし「エチカ」の幾何学のような書き方にとまどったり、「神あるいは自然」の意味するところになかなか理解がたどりつけなかったり、難しいと感じていた。この本はまず、スピノザを読んだ者が感ずるであろうひっかかりを素直に同感してくれるところから始めてくれるので取り付きやすい。スピノザの確かめようとした「最高の喜び」とはなにか?スピノザの言っている「神」とは「永遠」とは「真理とは」?スピノザの裾を引っ張りながら、スピノザに問いかけ、スピノザの答えを聞くような文章で、著者は著者の理解したスピノザを語ってくれる。

 スピノザの独特な言葉の使い方、「神」も「自然」も「永遠」も「真理」も、多分自分が使っているのとは違う使い方なのだ、と考えるところから始めること。そうすると、スピノザの「エチカ」の幾何学的証明の始まる前提が、かなりよくみえてくる。よく言われる「神あるいは自然」というのも、著者がいうように「スピノザのキャッチコピー」のように使われている感があるが、この「自然」も現在われわれの多くがイメージする「自然」だと思ってしまっては理解を妨げる。著者もところどころで「とにかくそういうことにしておこう」と言う言葉を使っているが、そのぐらいの気持ちで読み進むことが必要なのだろう。そのうち、スピノザの前提そのものを疑うことぐらいはしてみたくなってくる。

 この本を読む前と後とで、すこしばかりスピノザのイメージが変わった。「必然的に流れていく大きな自然、神の中にあって存在している自分」。それを感じることが最高の喜びである、となればこれは、なにか「禅的なさとり」にも似ていないだろうか。まあ、もしかしたらこの本の著者の解釈がそういうものである、ということなのかもしれないが。

 原著の邦訳の引用もたくさん入り、本文の中でもどの部分でそれを言っているのか、をたくさん入れてあるので原著にあたって自分で確かめることもしやすいのはありがたい。できれば巻末に索引、引用した原著の出てくるページ数の一覧などがあれば、もっと読み込めるのだが。(結局自分でつくってしまった。。。)

 あとがきにあるように「手軽に手に取れて、しかもじっくり中に入り込めるようなスピノザの入門書」。スピノザを知るために、読んでおいて損はない。
存在とは肯定である。
あの難しいスピノザを、本書はとてもわかりやすく解説してくれています。正直、ちょっとわかりやすすぎるのでは、という心配もありますが。

肯定の哲学といえばニーチェが思い出されますし、本書でも言及されていますが、私はむしろドストエフスキーと比較してみたい。これまで見慣れていた風景が、こちらの態度が変わることによって一変してしまう。本当にそんなことがあり得るのか? 「悪霊」のキリーロフは、これを「永久調和の瞬間」と呼んでいます。一瞬が永遠になる瞬間。存在する、というそのことが、そのままで肯定され、満ち足りる瞬間。
パウロは「天国へ行きたかったら神を愛せ」と教えましたが、イエスはむしろ「ここが天国だ、君たちが神に愛されていることを知れ」と励ましています。スピノザやドストエフスキーは、このイエスの教えを自分の言葉で語ろうとした、ということでしょうか?

人間など存在していようがいまいが、三角形の内角の和は2直角である。スピノザはこれを神と呼ぶのですから、ニーチェがどんなにレトリックを駆使しようと、スピノザの神を殺すことはできない。でも、こんなことはニーチェは承知の上だ、と理解したい。実際、ニーチェはいろいろに読めますから、そんなふうにも読める。「神は死んだ。我々が<殺した>のだ」。神は存在するが、我々が実存的に生きるために、神を殺す。これに賛同するかどうかは、人それぞれでしょうが。ニーチェは神の死を確認しただけだ、などというのは、ニーチェの一番つまらない読み方かもしれない。ーーそうなると、ニーチェは哲学書として読むべきではないのか? スピノザは哲学ですが、ニーチェはもう哲学ではない、あるいは、ニーチェ以降、哲学は死んだ? このニーチェは余計でしたが、「スピノザの世界」はいい本です。
おちゃめなスピノザの入門書
上野さん、何だかほほえましいんです。おちゃめなんです。本当にスピノザを愛していて、一般の方々にもスピノザをわかってほしいんだなあ、と思います。愛情が伝わってきます。スピノザ哲学の正統な解釈が、平易に、しかも密に詰まってる、丁寧に作られた本著。スピノザのスの字も読んだ事ない、でも神にはちょっと興味あるなあ、という人はぜひぜひ読んでください。今までの神の概念が覆されること必須。砂を噛むような理論に最初は辟易するかもしれませんが、きっと心をわしづかみにしてその瞬間に全てがわかるようなフレーズがありますよ。
スピノザ最良の入門書
スピノザの入門書としてこれから定番になると思われる本です。
スピノザの著書である『知性改善論』,『エチカ』,『国家論』などから引用をしつつ、
著者がそこからどのようなことが言えるのかと示してくれます。
この本が最良の入門書だと思われるのはこの本を読むとスピノザの書いた本を読みたくなるからです。
入門書のなかには著者の意見でおなかがいっぱいになるものや
明らかにこちらの知的レベルをなめきった本もあると思います。
しかしこの本にはそんなものは一切なくスピノザのスタイルに乗っ取って書かれてるおかげで
この本を読んでいればそのままスピノザの本に迎えると思います。


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