霧笛荘夜話 (角川文庫 あ 46-1)

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霧笛荘夜話 (角川文庫 あ 46-1)


角川グループパブリッシング

価格(new/used): 580 円 / 135 円 より
発売日: (2008-04-04) アマゾン売上ランキング: 7409 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

浅田節、全開!
浅田次郎を好きな人には、堪えられない一冊かもしれない。

叙情性+泣かせ+ペーソス……

ときどき浅田次郎は、短編に妙なうんちくを並べてしまうことがある。
これがやや鼻白むことがあるのだが、この短編集にはそれがない。

横浜の波止場の古アパート「霧笛荘」。
無一文で、わけありで、しかし愛すべき人が集まってくる。
管理人の老婆が、いい。

流れ流れてたどり着いた霧笛荘で、主人公たちはそれぞれ
人生の真実とか愛のようなものに目覚めていく――

という浅田節全開の短編集である。
いちばん良かったのは、登場人物に「悪人」がいないこと。
それがこの短編集の「優しさ」につながっている。
叙情、幻想、そしてノスタルジー
浅田次郎得意の叙情と幻想のたっぷりと盛り込まれた連作集。
舞台は横浜。
時代は現代。
ただ小道具に微妙にごまかされていて、
昭和の気配が強い。ノスタルジーを感じさせます。
そこも浅田タッチです。

登場人物は皆喪失感に苛まれながら暮らしている。
共通項は古いアパートの住人であること。
ホステス、やくざ、売れないミュージシャン、おなべなど。
一つ一つのエピソードはそれらの登場人物の過去だったり、
住人とのふれあいだったり。

ラストでは、霧笛荘には登場人物である住人はいない。
亡くなったり、引っ越したり。
この作品のもつ幻想的な佇まいが、
いっそう強まるのです。
やはりうまいなあ。
あるアパートに住む住人たちの不器用な生き方を描いた連作短編。話の中にその章の主人公の隣人が登場し、次のエピソードではその隣人が主人公、と言った感じで、見事につながっていく。個々の話は全体的に暗い話が多いが、浅田次郎得意の不器用だが優しく、愚直にしか生きられない人ばかりである。ただ、すべての章がよかったかというと、どうしても好きになれない話もあった。それでマイナス1の星四つ。しかし、やはりさすが浅田次郎、文章のうまさ、台詞の暖かさ、構成力の巧みさは超一級品である。そして、特に瑠璃色の部屋の章は素晴らしかった。ぼろぼろ涙が止まらなかった。あの章だけでも読む価値はあると思う。最終章のまとめ方も見事。やはりこの人の作品はいいなぁと、しみじみ思った。