さまよえる湖 (角川文庫)

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さまよえる湖 (角川文庫)


角川書店

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発売日: (1968-03) アマゾン売上ランキング: 122230 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 3件

本物の発見は、意外とあっさりしているもの。
中央アジアの「さまよえる湖」ロプ・ノールの「発見」は、20世紀の探検史上に燦然と輝くものだが、本書で報告されるその一部始終は、意外にもあっさりとしている。
地道な事前調査と周到な準備を行い、先人の残した記録を読み込み再検討を加えた上で仮説を立て、チームワークでそれを実証していくという過程を経ての新事実の発見というのは、もちろん幸運も必要だが、ある意味「必然」だということだろう。
まだ地球上に前人未到の地が残されていた幸福な時代の、誇り高い記録である。
蜃気楼の中の真実
中央アジアに存在するとされるロプ湖を求めた探険家の探険記録をもとに書かれた本。「さまよえる湖」というタイトルを見て、ふと思ったのはアラビアンナイトに出てくる百年に一度だけ現れる湖とお城の話だった。だけど実はもっと現実的で、なおかつ神秘的な話だ。冒頭部分は探険の必要物質の調達、それから探険での測量や行程に関する日誌のような話が続く。最後まで読んで、この探険紀行がどんな意味を持っていたかについて明らかにされるという構成だ。

ロプ湖はプトレマイオスの地図にその名を記されてから場所も存在も確認されなかった。それをスウェーデンの探検家ヘディンが、19世紀の後半から20世紀初頭にかけての探険でその姿を明らかにした。中国の奥地、タクラマカン砂漠とゴビ砂漠の間くらいにあるロプ湖の水源のタリム河が、沈澱と風食の作用を受けて流れる道を変える。そのためロプ湖もまた移動する。ヘディンがこの学説を唱えた24年後に実際に河の流れが変わってロプ湖も移動し、彼の学説が正しかったことをロプ湖自身が立証した。砂漠の中でオアシスが移動していくということは、湖が元あった場所の生態系が滅んで砂漠へと帰っていき、新しい湖の周りに新しい生命が生まれていくことだ。人さえも例外ではなく、ヘディンが発見した楼蘭はロプ湖が移動したために廃都となった遺跡だった。だがロプ湖が再び戻っていくときに、楼蘭も甦る。

蜃気楼のように・・・
 楼蘭の廃墟の発見、伝説の「ロプ湖」の仮説。
幸運な探検家の30年後の真実。
あなたも砂漠へ旅をする。
 作者のヘディンには申し訳ないが、
岩村忍が訳したことに意味がある。
戦前戦後と中央アジアの国々を学術探検して歩いた経験は
この翻訳に実感をもたせていると思う。