スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (...

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スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))


角川書店

価格(new/used): 500 円 / 1 円 より
発売日: (1985-02) アマゾン売上ランキング: 5855 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 25件

スポーツの楽しみ方を変えた。
20年以上前に出会った。
それまでのスポ根とは違う。
この作品の出版以後、プロ、アマチュア含め、スポーツが上質のエンターテイメントになったと言っても過言ではあるまい。
勝ち負けやヒーロー以上に、そこにいたるストーリーや心理、あるいは脇役もドラマチックであり、それに初めてスポットライトを当てたのは山際氏だった。
おかげさまで、僕らは、スポーツを筋書きの無いドラマとしてどこからでも楽しむ喜びを得たのだ。
ありがとう。

「スポーツって何だろう?」
★5つ

久しぶりにいい本に出会った。

どの人物もスポーツの才能には恵まれているものの、江夏豊投手以外の登場人物はいわゆる超有名人というわけではない。

そうした華やかなスポットライトの影に生きる彼らをあえて題材に選び描くことで、スポーツが人生にもたらす意味を考えさせる内容になっている。

「スポーツって何だろう?」

そう考えながらこの本を読み終わりかけた時に、そのヒントとなる言葉をみつけた。

「スポーツは公明正大に勝つことを教えてくれるし、またスポーツは威厳をもって負けることも教えてくれる。」

「要するに・・・」

「スポーツはすべてのことを、つまり、人生ってやつを教えてくれるんだ」

<この本の主な主人公たち>
加藤直樹 星陵高校一塁手 
津田真男 ボート
黒田真治 巨人軍バッティング投手
坂本聖二 スカッシュ選手
川端俊介 高崎高校投手
高橋卓己 棒高跳び選手
モスクワオリンピック辞退の裏で、様々なスポーツ選手が様々な人生を生き抜いている情景がこの短編の中にいくつか見ることができる。
芸術的なほどの「クールさ」
安っぽい感動物語などとは一線を画す、その一貫したスポーツへのクールな態度にこそ、山際淳司の魅力があると言っていいでしょう。その魅力が特に際立つのが、代表作である「江夏の21球」や「八月のカクテル光線」にあるような、何年かに一度の特別、特異な状況下を描くとき。舞台の熱狂が帯びるほど、彼の冷徹な筆致は一層鋭く、そこに繰り広げられる人間模様を生々しく炙り出します。自身は熱狂の輪に加わらず、一歩外へ引いた立ち位置を崩さないのに、いやだからこそか、読者に対してはあたかも当事者になったような錯覚を起こさせ、その瞬間の熱狂を再構築させてみせる。ほとんど芸術に近い手腕です。
上記2編以外にも、バッティングピッチャーやスカッシュ選手など、普段陽の目を見ない役者を題材にした作品が収録されており、実に豊かな構成になっています。
個人的に好きなのは、最後に収められている「ポール・ヴォルダー」。ほとんど「個人」を作品に表さない筆者には珍しく、鬱屈した氏の若き日を対比の材料にも使って、定められた限界にひたすら近づこうとする棒高跳び選手の姿を、哀しく、かつ美しく描いています。
80年代のエピソードばかりですが、どれもスポーツの(人間のと言っていいかもしれない)普遍性を捉えているので、その点を気にする必要はないでしょう。スポーツの世界が好きで、でも一方で騒がしいスポーツジャーナリズムはご勘弁という方は、是非手に取っていただきたい一冊です。
影を描く。
時おり、無性に山際淳司の作品を読みたくなるときがある。
シャツが汗でまとわりつき、夏の甲子園をテレビで放送し始める季節は特にそうだ。
彼の作品はどれも一定の水準を保ち、読ませる力を持っていて、決して期待を裏切らない。
その中でも、この作品がやっぱり一番のおすすめだ。他の作品に比べて、全体のクオリティーが高い気がする。
我々が熱い歓声を送り熱狂するスポーツの背後にひそむ様々なドラマを彼は淡々と、客観的な視線で描いている。我々が目にしている部分が光だとすれば、彼は一貫して影を追い続けている。
そして、彼の視線を通じ、その影を知ることによって、我々は光の眩さをさらに思い知ることとなる。それは、スポーツという枠組みを越え、ある種のヒューマンドラマともいえる。
野球ファンを自認する人は、「江夏の21球」は必読です。
マイナー選手の活躍を描く
表題スローカーブをもう一球では、おそらくほとんどの人が知らないような地方の高校野球決勝の様子を描いている。
160キロのストレート、ではないところがこの作品の特徴なのではないかと私は感じた。
他の作品もそうである。有名な話もいくつかあり、当然よい作品なのだが、マイナーなストーリーのマイナーな主人公の細かな描写に想像が膨らむ、というよさがこの作品にはあると思う。
そして何より「スローカーブを、もう一球」というタイトルが一番しびれたかなぁ。