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官能小説家 (朝日文庫) |
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官能小説家 (朝日文庫)朝日新聞社 価格(new/used): -- 円 / 3,500 円 より 発売日: (2005-05-12) アマゾン売上ランキング: 246442 位 文庫 / 在庫切れ [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件 タイトルに騙されるなパロディは冷徹な批判なくして書かれえない。 筆者が文学史をモチーフに取り上げた小説としては、ほぼ同時期に書かれ、朝日新聞にも 連載された『日本文学盛衰史』があるが、私個人としては『官能小説家』の方がレヴェル的に 上だと思う。タイトルや舞台装置、時にどうにも気の抜けた駄弁とは裏腹に、実のところ、 非常に純粋な恋愛小説を孕んでいたりもする。 半井桃水が樋口一葉を見出し、鍛え抜いて、そしてついにその才能を開花させる場面などは 甘美この上ないものである。まあもっとも、一葉自身の小説そのものは、紙幣にその肖像を 用いられるにも値しない、大いに興ざめする代物ではあるにせよ。桃水の描写たるや、ややも すると田山花袋『蒲団』を思い起こさせるようなところもあり、「男は女の肥料」たるその 儚さ、惨めさに肉薄する高橋の筆致は確か。 この小説、主人公となると、一応表題からしても、森鴎外になるのだろうか。当時としては 恐ろしく刺激的であったに違いなく、事実販売を禁じられた『ヴィータ・セクスアリス』なる 官能小説を書いたりもしているわけだし、堅牢な人格と思われがちな反面、洒脱な茶目っ気も あり、そうした側面を印象付けるための暗喩として、日サロだ、AV男優だ、という設定を 持ち込む意図も分かるけれども、そこまでする必要が果たしてあるのか、と思ったり、 思わなかったり…… 堅苦しい文学史の学習などと肩肘張らずに気楽に読め、それでいて文学性も秘めた一冊。 美しき青き明治時代新聞連載時は、どうしても細切れにしか読めないので、唐突な展開についていけないこともしばしばだったが、こうしてまとめて読んでみると、当時は意味不明だった部分もきちんとつながって、すっきりした。一葉と桃水の描写が痛々しく、みずみずしい。しかし、一葉が出てくる箇所を読むたびに、いちいち室井祐月の顔が浮かんでくるのが読書の邪魔である(笑)。「もう100年もたったんだから、ちょっとは変わっててもよくない?」という、現代に蘇った森鴎外のセリフに納得してしまった。 文学史でもこんなに遊べる!!小説家が小説を書いて生き残っていくとはどういうことか? おそらく日本で一番小説に一生懸命だった時代=明治、の小説家にスポットをあて、高橋源一郎が小説を遊びつくす。読んでいて飽きが来ない文章も、幾重にもくるまれた小説の仕掛けも新鮮。 小説ってなに?小説っておもしろい?っていう人にはぜひお勧めしたい一冊。 |