天国までの百マイル (朝日文庫)

- 朝日新聞社 価格 ¥ 500
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天国までの百マイル (朝日文庫)


朝日新聞社

価格(new/used): 500 円 / 1 円 より
発売日: (2000-10) アマゾン売上ランキング: 7085 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 56件

応援歌物語
貧乏から成金社長へ・・・そして破産、家庭崩壊、そこから始まる様々な愛情の物語。
成金から破産という設定はよくあるものだが、私自身同じような経験をしたことがあるのでとても他人事とは思えず(破産はしてないけどね・・・)
安男の感じる様々な些細な事があまりに理解できすぎて読みながら痛々しくなってくる。

登場人物一人ひとりがとても魅力的で思慮に富み、様々な愛情を見せてくれる。
中でも兄弟誰一人見向きもしない母親の看病を夫と別れてからもなを続けていた安男の元嫁英子。
何の見返りも求めず、くすぶり男を次々と甦らせて来たマリの安男への想い。
そして、若くして夫を亡くし6畳一間のアパートから4人の子供をエリートへと育て上げた母。
「女は強し」を感じずにはいられない。
出来の良い、そして母に対して極めて薄情な3人の兄弟を憎みながら、転落した末っ子の安男は必死に母を救おうとする。
天国までの百マイル、昔のフォークソングに掛けたこの題名の道のりを、あらゆる過去と対峙し今と対峙し未来への希望を乗せて母と息子は車で駆ける。

極貧に喘ぐ母と一緒になって幸せにすることをただただ願った小林一也、安男の幸せをただただ願ったマリ、こういう自分から出る愛情に見返りを求めない人ほど世間で言うとことの「幸せ」とは縁遠くまた超越している、という現実的な一面も感じられた。

マリの家に置かれていた枯れた花のみが全てを繋いでいて、余計なものが消えている、このラストが美しい。

「人の不幸を知らぬ顔が出来る幸せ」と「恵まれない境遇だからこそ気づく幸せ」は決して相容れない。
「金持ちになって私を忘れてくれるほうが万倍も良い」と言う病床の母。
「私が生き続けてやらないと安男が立ち直れない」と言う手術前の母。
なんて逞しくなんて凛々しくなんて気高いんだろう。
この母に気持ちよくお説教された気分です。
まだ何回かは読み直すでしょう。そんな小説です。

 
いわゆる佳作?
浅田次郎の大ファンです。

この本をいつ読もうかと思っていましたが、「蒼穹の昴」に興味があり、「蒼穹の昴」の直後にこの本を読みました。

はっきり言って、この本は浅田次郎にとってみると、ちょっとストリーにひねりが足りない普通の小説になっていると感じます。
「蒼穹の昴」の後に読んだから、余計にそう思うのでしょうか?

親孝行のとても素敵なストーリーではあるものの、いわゆる普通の素敵なストーリーであり、浅田次郎作にしてみては、物足りないのではないでしょうか?

でも、とっても読みやすく、どんどん読めるので、短い時間に暖かい気持ちになりたいのならば、お勧めですよ。本当にお母さんを大事にしたくなります。

1つこの小説で改めて思った事!

「人を愛するということは、その人を幸せにすること」 である 

という事です。 

幸せにしてあげられない愛は、本当の愛ではないですよね。
やっぱり、なんやかんや言って、浅田次郎はいいことを言います。

浅田作品は、これからも読み続けますよ。。。

母は強く偉大な存在と気づかされる
妻夫木聡が出てたドラマ『ブラックジャックによろしく』の中で、
患者の為に医学界からは異端児とされている天才的な心臓外科医に執刀をお願いしに奔走する。
という一話があるのですが、ちょっとかぶりました。

両親はともにかけがえのない存在であることは間違いないですが、
やはり『母』という存在は大きいです。
この小説のお母さんも本当に強く偉大な存在であるがゆえに助かって欲しいと感情移入してしまい、本気で泣けました。
前半素敵!後半&解説がイタイ
バブルで地位も金も家族も亡くした中年男(それが40歳というは適切なのか若いのか)が重い心臓病の母を救うために一見無茶な旅に出る、というメロドラマな話。しかし前半部の人物造形や話の持っていき方は、ややこしい内面話抜きの娯楽小説でなかなか読ませてくれる(正直、通勤電車の中でホロリとしそうになってヤバかった)。しかし後半からの展開はちょっと蛇足だ。安っぽい続編が一緒になったようでお腹一杯、て感じである。それに、出てくる女性たちが男にとって都合のいい存在過ぎないか?マリに別れた妻、どこか男という生き物の子供っぽさが鼻につく。カタルシスに読むには下手に文学しているよりもいいかもしれないけれど。

で、どうも気になったのが、文庫版に収録されている大山勝美氏(演出家・プロデューサーとのこと)の解説。浅田作品のファンであるからだろうか、「メロドラマ的過ぎる」等の一般論的批評に対して「都会では人とぶつかっても挨拶を交わさず、電車の中では若い女性は平気で化粧」する今の日本人は「金と効率のことだけを考えるミーイズムのトゲをつっぱりあわせ」かつての家族が持っていた温もりのを忘れ異常犯罪を引き起こす…というような説を述べている。

一体どこの大先生か知らないけど、そんな薄っぺらな社会観でよく演出家なんてできるもんだなぁ。「私は浅田次郎さんの描く世界に『救い』と『癒し』を感ずる。浅田さんは、日本人に家族を中心とした心豊かな精神世界をよみがえらそうとしていると思われてならない」…こんなこと書かれて著者は苦笑しているのではないだろうか。

これを素朴な昭和初期的平和の信奉者、と片付けてしまうのは簡単だけど、こういうタイプは意外にタフで教育とか法規とかいろいろ話をややこしくするのが得意だったりもする。家族という仕組みが幸福にした人々の影には、そのシステムが不幸にした人間だっている。電車の中で化粧する女性(俺も好きじゃないけど)の知り合いはいないが、お金のない人の弁護を安く引き受けるために、山手線の車内でお弁当を食べながら(当然白い目で見られたらしいが)忙しく走り回った女性弁護士の話は聞いたことがある…あの、本編よりも解説に関する部分が長くなってしまいましたが、ともかく「マジですか!?」というよう内容なので。

もう一度小説の方に。確かに前半部分は素晴らしい、と言ってもいい。で、何で後半で主人公の母親はああも饒舌になってしまうのか?まるで違う書き手の作品に思えるくらいだ。もしかして浅田次郎とは一人じゃないのかも…という説は如何でしょうか。後で解説の大山氏のことを調べたら、この小説がTVドラマ化されたときの演出もこの人でした。やれやれ…
お腹いっぱい
不動産で一山当てて、バブルと共に、崩壊する。
なんて、1980年代生まれの自分には、あまり実感がない。

経済が、急成長しているダイナミズムなんて、感じたことがないから、
バブル崩壊の象徴・城所安男と、それを取り巻く社会に、
「うさんくせぇなぁ」という疑いと、半分くらいは「羨ましいなぁ」という気持ちで読んだ。

そんな風に、ちょっと斜に構えてしまったのは、時代的な要因だけでなく、
このストーリーには、あまりにストレートな愛情が、溢れ返っていて、ちょっとお腹一杯過ぎるからだろう。
直球の愛情は、腹八分目くらいで、もっと他の種類の愛情や感情を織り交ぜて欲しかったなぁ。

結局、最後まで、入り込めずじまいでした。